CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?64

   

今日は、キャスリーン・フラン著「ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室」

からメモしていきたいと思います。

 

著者キャスリーン・フランがスーパーマーケットで出会った親子に声をかけるところから本は始まります。

 

どう料理していいのかわからない母親。包丁の握り方さえわからない女性。。。

家庭料理が不得意な10人を集めて、無料の料理学校を開いた著者のドキュメント本です。

 

”「インスタントのマッシュポテトも悪くない」なんて、普段の私の生活には紛れ込まないタイプのセリフだ。

フードライターとして、私自身がグルメの幻想と名づけた場所に紛れ込むことはよくある。

誰もが流行りの野菜の名前や、とびきり美味しい地元の桃の品種名、スモークされた鴨の

プロシュートなんて魔法の言薬をさらりと使う場所だ。

有名シェフをまるで知人であるかのように話題にし、有名なフランス料理本のレシピをどれだけ試したかと議論するような場所でもある。

誤解されたくはないのだけれど、確かに、バブリーな生活は楽しい。

ただ、ほとんどの人はそういう世界には住んでいない。

普通の人々は、スーパーマーケットの中のいちばん目立つ通路で買い物をする。そう、私が出会った女性のように。

その日の午後、私は、その幻想的な生活を捨て去る決意をした。”

 

本・snsなどを読んでいると、自分がセレブの一員になった気がしますよね。

現実と読み物の乖離。わかります。

 

私たちは専門家や政府が葉物野菜をたくさん食べるべきだと説教する世界に住んでいるというのに、

砂糖まみれのシリアルが栄養たっぷりの朝食だ、なんてメッセージを浴びせられている。

サプウェイのサンドイッチが魔法のダイエット食と謳うコマーシャルを見ている。

料理番組の有名女性司会者は笑顔で「グレイビーソースを作るのは面倒ですよね。だったら、瓶入りのものを買いましょう」と言い、

視聴者に「にんにくを刻むのは時間がかかり過ぎるから瓶入りのものが便利」と呼びかける。

公平を期すために書くが、食べるという行為にとって手軽さは最も大切であると訴える、

こういった呼びかけは、ただの宣伝文旬のひとつだろうとは思う。

自分や自分の大切な人に栄養を与えることが何より重要だと、私たちが忘れてしまうのも無理はない。

 

本末転倒な料理世界をズバリ言い当ててます。

 

子どもが食べる食品リストにある食物「チキンナゲット」、「粉で作るマカロニチーズ」、「白身魚フライ」のほとんどは、脳内の快楽中枢を剌激するように作られている。

実験用マウスがコカインとヘロインの中毒になるように、ジャンクフードの中毒にもなるとした研究結果が出ている。”

 

私の知人は、好き嫌いが多く、肥満傾向にあった息子に医師の診断を受けさせた。

わがままになり太りはじめたと気ついた、ちょうどその時期だ。

医師は彼女の息子の状態を「飢餓状態」だと言ったそうだ。

脱水状態で、砂糖の多く入った果汁や味付きの牛乳を飲みたがり、水を意図的に避けてきた息子の、ある意味予測できた結果だった。

「彼の面倒を見るのは私の役割よね。ああいう食べ物をあげちゃいけないってわかってるのに。

ヘルシーな夕食を作ってあげようって思うときもある。食品棚を見て、それから冷蔵庫を見て、野菜を出してきて、それから考える。

どうやってこれを料理したらいいのって。茹でるのってね」彼女は突然、あきらめてしまったかのように見えた。”

 

リアルな言葉にドキッとさせられます。

 

”「味覚は個人的なものです。私たちそれぞれがまったく違うものを持っていますから」と著者チェイニーは後に私に言った。

「人はそれぞれ感覚の門のようなものを持っていて、異なる味覚の記憶を持っています。結局、自分の好きなものは何かを探すこと、そして自分の作るものを信じることです。それが大事なんです」”

彼女によると、消費者は1つのブランドに固執するか、最も安いものを買う選択はするけれども、

複数のブランドを味見しようと考える人、次々と試す人は稀なのだそうだ。”

 

”シェリルも母親が料理上手の家庭に育ったものの、家を出るまで料理をほとんど習ったことがなかった。

「冷凍ピザだったらいつでもあるし。でも、そういうことはもうしたくないと思っています。

私は自分の家族に栄養のある食べ物を作っているんだって気持ちになりたいしね。

ただ生き延びるためだけの食事ではなくて。」”

 

誰もが無意識に感じている悩みなんじゃないでしょうか?

 

”マヨネーズは定期的に自分で作るタイプの女性だ。”

 

この表現。好きです。

 

その夜、私は古いことわざを思い出していた。

「魚を1匹与えれば、1日食いつなぐことはできる。

魚の取り方を教えてやれば一生食いっぱぐれることはない。」

いいことを言っているなあといつも感心する。片づけをしながら私は、魚を捕まえること自体は問題ではないのだから、魚をシンプルに料理する方法を教えることは、このことわざ通りになるのだと気づいた。”

 

”食品製造業者で働く科学者たちは、数十年にわたり超加工食品とファーストフードの値段の調整を追い求めてきたと記している。

彼らのゴールは、脂肪、塩、砂糖の三位一体の、一番美味しい部分を見つけること。

そして脳内ドーパミンを放出する扉を開けるための、ぴったりの鍵を探し当てることなのだ。

ドーパミンは、神経伝達物質を誘発し、人工的に強められた喜びを提供する。

そのためのコンビネーションを探すことは、彼らにとって、古い映画に出てくる、

巨大な銀行の金庫に聴診器を当てて、鍵を回してカチッと音が鳴る場所を探すようなものだ。

最後のカチャリという音が聞こえたら、ほらね!突然金庫は開く。”

 

食品科学者のゴールは味ではなく、消費量だ。

「科学者たちの言う美味しい食品とは、本質的に我々の食欲を刺激し、そしてもっと食べさせることができる食品である」

と、ケスラーは記している。たとえば、両手にいっぱいのプルーベリーを食べれば、自然の甘みであなたは簡単に満足することができる。

でも、超加工食品の冷凍ブルーベリーワッフルではそうはいかない。

トースターから溢れ出すにおいだって、注意深く調整されていて、あなたの期待を膨らませるようになっているのだ。

たぶんあなたはそれをすごく美味しいとは思わないでしょうけれど、でもなぜだか次に手がでてしまう……

そして、たぶんもうひとつ。

この脳内で起きている奇妙な反応を見た化学者は、ラットにジャンクフードを与え続けると、

あっという間に中毒症状を引き起こすことを発見した。

砂糖がたっぷり入っていて脂肪分があり、塩辛いおやつを食べてドーパミンの準備を待つ間、

ラットはいつもの「ラットごはん」を拒否する。一部は餓死さえする。

深刻な習慣的摂取を著しく促すドラッグであるコカインやヘロインも、同じような反応をラットに引き起こす。

アメリカ人が口に入れる塩分の4分の3が超加工食品であるインスタントやファーストフードから摂取されていることの理由だろう。

美味しくするために、カップスープに、成人に推奨されている1日の塩分摂取量の38パーセントもの塩を添加する必要があるだろうか。

冷凍ラザーニャひと切れに、砂糖がけドーナツに使われる砂糖と同じ量の、

ティースプーン3杯分もの砂糖が必要だろうか?

いいえ、でも製造会社があなたにもっとスープとラザーニャを購入してもらうためだったら、必要なのだ。

これはポテトチップとファーストフードヘの渇望も説明してくれる。私はジョディの息子を思い出した。

「難しいわ」と、子ども用食材以外を息子に食べさせようと努力しているジョディは私に言った。

「ほんと、ギリギリまで我慢してる。でも絶対に食べないでしょ。だから、

とりあえず欲しがるものを与えちゃう。それは認めるしかないわ。」

多くの栄養士が、幼児は1日に1000ミリグラム以上の塩分を摂取すべきでないと主張している。

USDA(※米国農務省)の規定では1日1500ミリグラムとされている。

しかし、キャンベル社の濃縮アルファベット野菜スープには、2100ミリグラムもの塩分が入っている。

たった1種類の味しか期待されていないのにも関わらず、加工食品の多くは、味の調剤書を模倣するように作られた強化食品だ。

味が複雑になればなるほど、あなたはもっと食べるようになる。

これはフライドチキンの複雑なバリエーションや、チキンナゲットの様々なディップソースで説明できる。”

 

だんだん読み進めると恐怖に変わってきます。。。

 

”スーパーマーケットで私たちが複雑な商売の迷路に迷い込んだネズミのようなものだと気づく人は少ない。

スーパーは買い物客の行動パターンを調べるために大金を費やしてる。全てが目的を持って行われて売るのだ。

店内に流す音楽から、セールを知らせるチラシのフォントの大きさも、

スーパーは少し肌寒い場所だということに、あなたはきっと気づいているだろう。

私は昔、それは食品を保存するためだと思っていた。

でも実際は、それはあなたの食欲を刺激している。寒さが食欲を刺激するのだ。空腹を感じている状態だと、たくさん買ってしまう。”

  

   

料理が不得意だった10人を通して、現在の食の問題がどんどん浮き彫りになります。

そして著者はこう言います。

   

”暮らしを支える料理に必要なのは、高度な技術でも、ぜいたくな食材でもない。

必要なのは、元気に暮らそう。美味しい食べ物で大切な誰かを喜ばせてあげようという真っ直ぐな気持ちだけだ。

失敗したっていい、焦がしてもいい。そんなのどうでもいいじゃない。

だって、たった一度の食事だもの。あなたの料理が下手だなんて、誰が言ったの?

誰が私たちを定義できるってわけ?変わるのに遅すぎることなんてないのよ!!”

   

   

感動しますよね。

とてもいい本でした。料理ができないこと。どこかで気になっている人はオススメです。

ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室 | 2020 | 未分類 | Comments (0)