CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?52

   

今日からは、またまた面白いテーマ「おいしい」となぜ食べすぎるのか

山本隆さんの著書です。大阪大学の教授で脳科学と味覚生理学が専門のようです。

今日はその中の、おいしさとは何だろう?からメモします。

なぜおいしいを求めるのか?

おいしいという快感は、体に必要なもの、つまり、体に欠乏している栄養素、

エネルギー源などを積極的に摂取させるための生理作用のひとつです。

遺伝子情報に組み込まれていために、生得的(先天的)においしいと感じさせるものもありますが、

経験や学習、あるいは加齢による生理機能の変化により、はじめは特に意識していなかったものをおいしく思うようになる獲得性の場合もあります。

食べるということは、体を構成するすべての細胞が生き生きと活動するために必要なエネルギー源、

タンパク質、ミネラルなどを補給することが本来の目的です。

このような体にとって必要なものに対しては、おいしいという情動(快情動)を引き起こすことによって、その物質の摂取を促します。

逆に毒物など避ける必要のあるものには、まずいという嫌悪性の状態を引き起こすことにより、その摂取を避けようとします。

何がおいしくて何がまずいかは長年にわたる進化の過程で、おのずと獲得されてきたものです。

要するに、苦いものだけが好きだった動物は、その毒性のために早々と地球上から姿を消したでしょうし、エネルギー源となる甘いものが嫌いだった動物も生き残ることは難しかったでしょう。

しかし、私たち人間が感じるおいしさは、単に進化の過程で身につけた、遺伝的な要因だけで決まるものではありません。”

赤い色は魅力的・赤ちゃんの臭覚

鳥も人も暖色系の彩りの食べ物に対して好ましい感情を抱くのは、遺伝的な要因だと思われます。

動くことのできない植物は、動物に実を食べてもらい、

消化できない固い種をいろんな所にばらまいてもらうために、種を取り囲む果肉を甘くおいくして動物を誘います。

種が発芽能力をもつころに実はおいしくなり、皮は赤みを帯びてOKサインを出すのです。

それまでは青くて、食べてもたいていはすっぱくてまずい味。

このような色とおいしさの関係を、動物は進化の過程で身につけ、遺伝情報に組み込んだのです。

一方、においもまた、遺伝的に動物を引きつける力をもっています。

生後すぐの赤ちゃんは、母親の乳首を口に含んでお乳を飲みます。

このとき、まだ視覚が十分発達していないので、よく見えませんし、ましてや物を見て識別する能力はありません。

ということは、このとき赤ちゃんは、においを手がかりとして乳首を探しているのです。そして驚くべきことに、赤ちゃんは自分の母親のお乳のにおいをちゃんと識別しているのです。..

これは実験的に確かめることができます。五枚のガーゼを用意し、自分の母親を含めた五人のお母さんの母乳を、それぞれのガーゼに染み込ませます。

そして、一枚ずつ赤ちゃんの鼻先に持っていくと、自分の母親のお乳を含んだガーゼがきたときだけ、チューチューと吸いはじめるのです。”

体が求めるおいしさ

”おいしさとは、いろいろな要因に基づきますが、なかでも重要なのは、

体が求めているものを摂取したときの快感です。

たとえば、暑い夏、一時的な暑気払いであっても、かき氷やアイスクリームを食べると、とてもおいしく感じます。

そして寒い冬になると、今度は熱いぜんざいや甘酒などがおいしいですね。

つまり、暑いときに冷たいものを摂取したり、寒いときに温かいもの、それも甘味など本能的に好ましい味つけのものを食べたときに感じる快感です。

のどが渇いたときは、一杯の水がとてもおいしい。

肉体運動をしたあとは、エネルギー源であるブドウ糖を含む、あめやチョコレートなどの甘いものが欲しくなります。

またこのとき、クエン酸などの酸味物質がとてもおいしくなります。

というのも、クエン酸も糖質と同様に、体内のクエン酸回路を経て、エネルギーに変換されるからです。

また、塩分が欠乏すると、ふつうなら避けるほどの濃い食塩水が、とてもおいしくなります。

日頃の生活の場面でいえば、汗をたくさんかいたあとで塩味の食べ物が欲しくなり、おいしく感じられるのも、ナトリウムイオンが汗の成分として、体から出ていってしまうことによるものです。

近年話題になっている栄養素のひとつとして、必須アミノ酸がありますね。

必須アミノ酸は体の中でつくることのできないアミノ酸で、食べ物から摂取する必要があります。

九種の必須アミノ酸のどれかひとつでも欠乏すると、体調が悪くなるので、体はそれを補充しようとします。たとえば、必須アミノ酸のひとつであるリジンが欠乏すると、その動物はリジンを盛んに摂取するようになります。

これは、リジンの味を手がかりとした嗜好学習によるものと考えられます。

つまり、リジンを味わったあと体調がよくなるという快感を経験すると、リジンの味がおいしく感じられ、

それを摂取するのですが、リジンが補充されると快感を生じなくなるので、リジンの摂取をストップします。

リジン欠乏状態が解消されると、そもそも味のよくないリジンには、見向きもしなくなってしまいます。

これらの例からもわかるように、

体が求めるおいしさというのは、正確にいえば、

「体に欠乏したものを補充したときの快感」ということになるのです。

噛む

   

”噛むという動作は、生理学的には食物を粉砕し、臼磨(きゅうま)し、嚥下(「えんげ」とも読む)

しやすい形にすることですが、噛むこと自体が快感を伴います。

いくらおいしい味つけであっても流動食のみで食事することは耐えられるものではありませんね。

味のしなくなったチューインガムをいつまでも噛んでいられるなは、

その行為そのものに快感が潜んでいるからに他ならないのです。”

   

   

食べ物を拒否する理由4分類

  

”①不味い。

きわめて明快。おいしいの反対、まずければ食べない、拒否されます。

   

②危険。

アレルギー体質の人が、たとえば卵や穀類に対して、アレルギーを引き起こすことがわかっている場合には、

当然、身の危険を避けるために、このようなアレルゲンを含む食べ物の摂取を拒否しなければいけません。

   

③不適切。

慣例的、文化的観念として認められているものから逸脱した場合。

節分には大豆をまいて食べるものですが、ピーナツでもいいという人はいないでしょう。

いくら朝食はしっかり食べなければいけないからといって、朝からビフテキを食べる人はいないし、刺身にケチャップやマヨネーズをかける人もいないはず。

焼き鯖にジャムをつけて食べる料理があるそうですが、鯖は塩焼きに限るという人には見向きもされないでしょう。

ブタの脳ミソなど食べるものではない、と思う私のようなゲテモノ嫌いもこの範疇に入ります。

   

④嫌悪。

食べているものがゴキブリなどの虫、髪の毛などの異物など、

「許されざるもの」で汚染されているとき抱く感情が嫌悪感です。

手近なところでは、食堂で運ばれてきたラーメンの汁に、店員の親指が浸かっていたときです。英語ではdisgustということばを使います。

disは「反対」や「非」を意味する接頭語、gustは「味」を意味します。

このことは、食物汚染が嫌悪感情の源であり、これが起点となっていろいろな社会的、文化的、あるいは道徳的、倫理的な事象について、

嫌悪ということばが広く一般化していったことを示唆しています。”

  

背景に暖色系を用いたほうが良い。原因が少し理解できました。

「おいしい」となぜ食べすぎるのか 山本隆さん著1 | 2020 | 未分類 | Comments (0)