CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?51
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とても面白い本「人間は脳で食べている」伏木亨さん著 ちくま新書
今日は、その気にさせやすい風味から メモします。
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”薫製の風味も世界中にある普遍的なおいしさである。
「割とかんたんに何でもおいしくなるんですよね」
「チーズでも卵でも、魚でも、なんでも薫製が可能ですね。何故おいしいんだろう」
なぜおいしいのか誰も合理的な説明に成功していない。
薫製はけむりでいぶした香りであり、人間の火や煙に対する受容性が現れている。煙の香りがおいしさのてがかりの一つになっている。
そうはいってもおいしさを説明したことにはならない。
薫製の技術は食品の保存性を高めるために用いられてきた。
フェノール化合物を中心として無数の香気物質の複合である。主要なものだけでも100種類はゆうに超えるであろう。
もとは保存性を高めるためのものであったが、今日のように冷蔵物流が発達してきて本来の保存技術としての役目を終えてもなお残り続けているおいしい風味である。
世界中のさまざまな地方で、薫製がつくられ賞味されている。
ものすごい種類である。
人間はこの煙の匂いが先天的に好きなのであろうか。
興味深い研究課題である。
発酵は日本のお家芸であり、さまざまな発酵・醸造が行われている。
しかも、どれもおいしい。
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日本の味噌・醤油は日本人には必需品である。
発酵させる処理が極めて好きな味わいを作り出すのである。アミノ酸や核酸などのうま味の寄与は大きいが、それだけでは説明しきれない。
一般に発酵食品の匂いはくせが強い。
慣れない人ならば拒否したくなるようなものも多い。
しかし、このくせの強さが好きな人にとってはやみつきになるのである。
人間の好みの深い淵のような部分が発酵食品にはあるように思われる。
発酵で生じる匂いにはくせの強いものが多いのは事実であるが、
匂いには元々優劣などはないと考えられている。
子供の頃から食べ慣れたおいしい食品の経験の匂いは、たとえ腐敗のように他人には感じられても違和感は少ない。
むしろ、おいしさと結びついた好ましい匂いになる。
栄養価がおいしさの基礎になる。
おいしい食品の匂いは好ましい匂いとなる。
発酵食品が伝統食と言われるのは、経験のないよそ者には理解できないほどの奇妙な匂いさえ旨く感じるというメカニズムのためであろう。
他にも世界中の人々が口を揃えておいしいと言う食材や食品加工技術がいっぱいある。
しかも、それがなぜおいしいのか充分に説明が付かない。
本能とでも言うしかない。人間の情報の届かない場所に、本能が好むような風味や味の感受性が今も存在している。
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燻製や発酵は、昔からある。世代を超えて時代を超えて、
生まれながらに人間にインプットされているのか??
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これは面白い文章でした。