CMディレクター 仲野哲郎の「シズル」って何?118

今日は、宮城大学の教授 石川伸一さん著の

「料理と化学のおいしい出会い」からのメモです。

石川伸一さんの著書はどれを読んでも面白い!!

ハズレなしです。食べ物をテーマにこれだけ面白い文章が書けることに

驚くばかりです。

今日は、この本の最後のメモです。

一番よく食べている「水分子」の特性

食品成分の中でも「水」は、ほぼすべての食品に存在し、かつ多量に含まれているため、

私たちがもっともよく”食べている分子であるといえるでしょう。

野菜や果物には水分が80%以上含まれ、肉や魚も70~80%が水からできています。

野菜では五%、肉・魚では三%の水分が失われると、その鮮度や品質が維持できなくなるといわれています。

食べものの構造は水によって保たれ、水の損失によって組織が崩壊します。

水は、食品のかたさ、粘性、流動性などのテクスチャーに重要な役割を演じているだけでなく、

味や香り、色の変化、食品中で起こるさまざまな化学反応や酵素反応、保存•安定性などにも大きく関与しています。”

70%も水なんですね〜〜〜びっくりです。

油の魅惑のおいしさ

油の多い料理は、”残念ながら”てもおいしいです。霜降り牛のステーキ、大トロの握り、

うな重、カレー、ラーメン、ハンバーグ、チョコレート、ソフトクリームなど、

油には人を夢中にさせる魔力があります。

(中略)

脂質の持つエネルギーは約九キロカロリー/グラムであり、

糖質やタンパク質の四キロカロリー/グラムの二倍以上のカロリーです。

脂質は体の活動にとって大事なエネルギー源であるからおいしく感じるのか、

おいしいものはもともと高エネルギーなのかは不明ですが、このおいしい分子の食べすぎは、

肥満や、動脈硬化、心疾患、乳がん、大腸がんなどの生活習慣病の原因となる危険性をはらんでいます。

とはいっても、秋の風物詩、脂の乗った「サンマの塩焼き」や、

カロリーの約七五%が脂質である「牛タン焼き」を目の前に出されれば、唾液の分泌を抑えるのは

至難の業です。

もともと私たち人類の歴史を振り返れば、ほとんど飢えとの戦いの歴史であったと言えるでしょう。

有史以来、「今日、食べることができるか?」が人々の関心の中心にありました。

現代のように、食料が有り余るような飽食になったのはごくごく最近で、

なおかつ先進国などの特定の地域のみの現象です。

私たちの体は、無意識に飢餓のことを記憶し、それに備えて自然と脂肪を蓄積しておこうとするのでしょう。

そのため、脂質をおいしいと感じ、もっと食べたくなるのはいわば当然の成り行きなのかもしれません。”

脂肪をとりたがるのは致し方ないのですね。。。

日本料理は、余計な調理を極力省き、素材そのものの味を引き立たせることを優先させるのに対し、

フランス料理は、多彩な食材を組み合わせ、深みの味のあるソースがベースになっているのです。

この足し算の料理には、ある仮説が存在しているといわれています。

「フードペアリング仮説」と言うものです。

フレンチなどの足し算の料理は、食材を何でもかんでも合わせればよいとしいうわけではなく、

食材どうしの組み合わせがきわめて重要な役割を担っています。

ソムリエはまさに、料理とワインを組み合わせる足し算のプロといえるでしょう。

とくに異なる食材を合わせるうえで重要なのが香りであり、多くの異なる種類の香りが

混在している料理は、あまり好まれない傾向があります。

たとえば、カレーとバニラアイスとオレンジジュースがそれぞれ好きだとしても、

それらの香りが時に漂ってくる料理は、おいしいとは感じにくいのではないでしょうか。

またデパートの化粧品売場などで、いろいろな香水が混ざったにおいが苦手という方は

多いのではないかと思います。

このように、一皿の料理内で好まれる香りの数には制限があるため、

「共通すりを持つ食材どうしを合わせると統一感が出て、なおかつ深みのあるおいしい料理ができるだろう」

というのがフードペアリング仮説の原理です。”

”今後食事は、飲食の「飲む」、「食べる」以外にも、「吸う」という概念を加えた

「吸引食」がスタンダードになってくるかもしれません。

体、液体、固体という「相」、さらに相どうしの組み合わせを意識することによって、料理

はさらに新たなステージへと広がりを見せてくれるでしょう。”

ごはんのおいしさはテクスチャー

私たちは、ごはんのどこにおいしさを感じているのでしょうか。

これまで米の食味試験結果から、粘りやかたさなどの物理的な特性がおいしさの七割を占め、

残りの三割が光沢などの外観、におい、甘味やうま味などであることが報告されています。

主食は、ごはんにしろ。パンにしろ、飽きがこないという点がとても重要です。

そのため主食は、おかずほど強い味や香りを持っているわけではありません。

ごはんも噛みしめるとほんのりとした甘味やうま味を感じますが、ベースは淡白な味であり、

ごはんのおいしさに、粘りや弾力などのテクスチャーの果たす役割が大きいことは当然だといえます。”

ごはんのおいしさは粘りや硬さが重要だったなんて驚きでした。

 

これで、この著書のメモは終わりです。

とても良本でした。

料理と化学のおいしい出会い③ 石川伸一さん著 | 2023 | 未分類 | Comments (0)