CMディレクター 仲野哲郎の「シズル」って何?121
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前回に続き、井川直子さんの著書「シェフをつづけるということ」
からメモしていきます。
シェフたちとの10年以上に及ぶ交流の中から著者がインタビューをしています。
シェフたちが何を思ってイタリア修行に出て行ったのか?
その後の人生をどう築いていったのか?
気がつけば前のめりに読んでいました。とても、考え深い本でした。
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福本伸也さんインタビューから
”「僕はおいしさしか求めない。素材しか見ていな」
この言薬を分解すると、アイデアの斬新さや技術を面白がる料理ではなく、
すべてが味、自分の思うおいしさに向かっていく料理、の意味になる。
そして調理技術は、素材を超えるものではないということも。”
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自分のおいしさを基準にしているんですね。当たり前なのだけれども、
美味しいの基準をどこに持っていくかは、とても重要なことです。
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佐藤雄也さんインタビューから
”ポン太さんのグリーンアスパラガスのスフォルマート
「もともと木こりをしていて、アスパラガスが好きすぎて作り始めたという、面白い人です。
糖度が高く、すっごく太くてやわらかい。。朝、収穫したてを売ってくれるので、
折ると水が滴ります。だから十秒も茄でないくらいで引き揚げて、生クリームも塩も極力微量に抑え、
蒸し上げました。」”
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”白樺の樹液のジュレ
「アイヌの古い文献で知った食文化です。雪解けの時季、7〜10日だけ白樺が土の水分を吸い上げる。
樹に耳をつけると、若い樹ほど勢いよくゴーゴーつて音が聴こえるんですよ。
春は植物も動物も目を覚まして、生きるための活動を始める、
そういう季節なんだなって本当に感じます。それを白樺が困らない分だけ分けてもらって、
10分の1まで煮詰めたものをゆるいジュレにしました。
ほんのり甘くて、樹によって味が違んですよ」”
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“焼尻島・萌州ファムのプレ・サレ焼尻
「フランスのプレ・サレは沿岸部で、塩分を含んだ牧草を食べて育ちますよね。
北海道北部の焼尻島でもやってるんです。
離島だから、海に囲まれた牧草地で冬以外は放牧で育つ。外敵がいないから、
昼も夜寝るときも草の上という幸せな羊です。
熊笹と、ダッチオーブンで低温の蒸し焼きにしました。
口ゼよりもっとレアな火入れですが、最後は強火で、海辺育ちの羊の香りに
熊笹の青っぼい山の香りを重ねる。」
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”まず、素材ありき。全国の食材が揃う今の日本では、たいてい「この料理を作りたいから、
どの材料を仕入れる」という発想になるが、
地元の素材を主に使おうと思えば「今日、これが手に入ったからどう生かそう?」の順番になる。”
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文章を見ただけで美味しそうな。。。こんな美味しい文章って素晴らしいと思いませんか?
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宮根正人さんのインタビューから
”ピエモンテの人々はこういった定番を繰り返 し作り、食べているが、宮根もまた郷土料理に関 しては、
開店以来同じものをひたすら作りつづけている。
それは 「お客を飽きさせないためにどうするか」と苦悶して新作を生みつづける東京にあって、
ちょっと驚くべき ことだ 。 一つ二つじゃない、ほぼすべて。もっといえば「やめた料理がない」
というのだから。
しかしなぜ、いつも同じ郷土料理でお客を飽きさせないことができるのか 。
「僕がピエモンテにいたのはたかだか五年で、どこまでいっても日本人、現地の人には及ばない。
それでも可能 なかぎり現地に近づこう。そういう思いで同じ料理を作りつづけていると、
ポイントがいろいろと見えてくるんです 。ああ 、地元の人はこういう理由があってこう作っていたのかなと、
突然降りてくるときがある 。すると同じ料理だけど 、変わってくるんです」
つまりただ漫然と同じ仕事を繰り返すのでなく 、そのつど 、誤差や曖味を一ミリずつ削って磨いていくこと。
そう して精度を高めていくのである。
彼の言葉で言えば 「ちゃんと焼く、ちゃんと煮るに徹する」。
それは習ったとおりにするという意味とも違う。反対に、ときにはあたりまえにやってきたことを一度、
疑ってみるのだという。本当にそうなのか、と一度立ち止まって検証することで、
「ちゃんと煮る」の真理がわかることがあると。”
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例え同じ作業でも全てにおいて気を抜かずキチンと仕事をする事でしか見えないこともあるんですね。
頭が下がります。
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以上、今日のメモでした。