CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?45
–
とても面白い本「人間は脳で食べている」伏木亨さん著 ちくま新書
今日は、「4つのおいしさ」からメモです。
-
”美味しさの4本柱
1:生理的な欲求に合致するものは美味しい。
2:生まれ育った国や地域、あるいは民族(宗教)などの食文化に合致するものは美味しい。
3:脳の報酬系を強く刺激してやみつきになる。
4:情報が美味しさをリードする。
-
この4つでおいしさは分類できるそうです。
–
-
4:情報が美味しさをリードする。
の中から面白い例をメモしていきます。
-
-
”本場の上海蟹は陽澄湖が極上とされる。ブランド蟹である。近くの太湖で蟹では価格が下がる。
当然、産地の詐称が横行する。
そこで、ハサミに白いプラスチックの小さなタグを付けることも考案された。
日本の越前ガニも立派なタッグを着けている。
上海ではたちまちにしてタグの偽物が製造された。
当局の取り締まりもあるが、いたちごっこである。
「これが付いているとお客が喜ぶんでネ。太湖でも陽澄湖でも変わりゃしないよ。偽でも本物でもタグがうまいのなら付けてあげるよ」
と業者も屈託がない。偽物でも本物でも価値はお客が決める。
中国は買う側の自己責任の思想が伝統的に徹底している。
「タグ付きがうまけりゃ、つけてあげる」。
という感覚は、(中国では)それほど不思議には聞こえない。”
–
–
”なぜ人間は情報のおいしさに頼ろうとするのか。口や舌の感覚よりも情報が気になるのはなぜか?
ひとことで言うと、食の安全対策である。口や鼻だけでは安心できない。
責任ある機関の安全情報が一番安心できる。
「ちょっと古いかもしれない……」
「匂いも味も大丈夫そうなんだけど」
「大丈夫?」
「あれっ、消費期限が明後日になってるじゃないの。余裕で問題なし!」
「セーフね。安心した」
–
五感よりも日付情報が腐敗の有無を決定している。
-
大脳が発逹して情報処理能力に優れる人間にとっては、表示のような情報による判断が最も納得しやすいのである。人間の大脳の発達と関係がある。”
–
-
美味しさを「情報・ブランド」に頼る、安全を情報に頼る現代の状況に
著者はこう続けている。
-
”五感が鈍ぐなって頼れるのは情報だけという生き方の危うさを表している。
情報はあるが知恵が無くなってしまっている。知恵が無くなっていることに不安を感じている人々は多い。
そんなヒトは情報をもっと詳細に欲しいと叫ぶ。
–
「正確な情報なしで、どうして安心しろというの」
–
安全な食生活を送るためには詳細な情報が必要であるいう。
情報ばかり集めて、実体を見ようとしない。
いったん情報に依存するようになって、自分の五感で判断する基準を失ってしまった人にとっては、自分の動物としての欠陥を補うのは情報だけしかない。
–
”フグならば、フグを調理する免許制度によって安全が保たれている。
玄関にフグの調理師免許状が額に入れてある。これが安全を担保する。”
–
”現代人の味覚や食行動は、生命を維持するための緊張感からはほど遠いものである。
張感なしで食事ができることは、情報を使うという高度な技を手に入れた報酬かも知れない。
また、食の楽しみというのも安心感の上で成り立っている。
そのかわりに、人間の味覚や嗅覚は生死をかけた真剣な吟味という機会を失い、動物に比べると著しく鈍いものになってきていることも事実である。”
–
-
動物の本能的な回避能力が落ちてきているんですね。。。
情報の良し悪しです。今日も一つ考えさせられました。