CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?101
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今日は、トヨタ・iciなどの多国籍企業のデザインコンサルティングもしている
オックスフォード大学の心理学者 チャールズ・スペンス著
「おいしさ」の錯覚 (角川書店)
からメモしていきます。
2018年初版なのですが、正直「もっと早く読みたかった〜」と感じました。
世の中はどんどん進化していきますからね。。。
「おいしさ」の最前線を見ることができ、とても勉強になりました。
とても面白い本です!!
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まずは、スイスにあるミシュラン2つ星のデニスマーティンのレストランの話。
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”どれだけ心を込めて料理しても、客の一部がそれほど食事を楽しんでいないことに気づいた。
食事客たちの多くは緊張して、無口だった。
マーティンの言葉を借りると「払った金額に見合うだけの楽しみを得ていなかった」のである。
そこでマーティンが思いついたのは、
牛の置物をすべてのテープルに置くことだった。
食事客がテーブルについても、すぐには給仕を始めない。
すると、テープルに置かれている隙物がスイス流の塩の容器や胡椒挽き
なのだろうかと不思議に思った客たちが、牛を手に取る。底面を見ようとして傾けると、
の置物は悲しげな「モー」という音を出すのだ。
驚いた客の多くは笑いはじめる。あっという間に、ダイニングルームは牛の「モーモー」
という合唱で満たされ、笑顔が広がる。人々の気分が明るくなったところで、
コース料理の一品目がキッチンから出てくる。
結局のところ、私たちの気分が、食事体験を左右するもっとも頸要な要素と言える。
だから、人々の気分をよくすることに力を入れるべきなのである。”
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レストランの食体験を記憶に残すには、料理の味だけではないんですね。
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次に、チャールズ・スペンスさんがイグノーベル賞を受賞した。ポテトチップスの音の
研究と料理と音の関係についてのメモです。
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“私たちは、ポテトチップスを噛み砕いたときの音を
増幅させると、人々は自分が食べているポテトチップスが実際より
サクサクで、新鮮であると感じることを実証して見せた。
(中略)
そして、BBCラジオの「4ショー』でインタビューを受けた
ヘストン・プルメンタールは、こう答えた。
「これからは、音をシェフが利用できる食材の一つとみなす」と。”
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“大ざっぱに言うと、
人々がプリングルズをかじるときに聞く音に含まれる高周波音をすだけで、
高周波音を除去したときに比べて15%ほどサクサク感が増し、新鮮に感じられることがわかった。
(中略)
リンゴ、セロリ、ニンジンなど、音を立てる食べ物なら何でもいい。
ポテトチップスやクラッカーのように乾いていようが、
フルーツや野菜のように水分を含んでいようが、
関係ない。最近イタリアの北部で行われたリンゴを使った研究でも、
かじるときの音を操作することで、
三種のリンゴの新鮮さや噛みごたえに対する評価を意図的に変えることに成功している。
まず、私たちが聞く音が、私たちの昧覚に実際に影響するということを示す確かな証拠となる。“
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“サクサク(シャキシャキ)という音を見てみよう。
この音は間違いなくフルーツや野菜の新鮮さを見分ける優れた(信頼できる)ヒントになる。
この情報は、私たちの祖先にとって重要だった。というのも、食ぺ物は新鮮であればあるほど、
栄雖が損なわれておらず、したがって食べるのに適したものだったからだ。
(中略)
ジョン•S・アレンは、火で熱することで食品はより栄養価が高く(正確にはより消化しやすく)、
同時によりクリスピーになると指摘している。
焼きたてのパンを想像すれば、理解しやすいだろう。この点が–進化という観点から見た場合–サクサク、
バリバリ、カリカリなどといった音が重要視される理由だと考えられる。
最近の研究で、食品は硬いほど、フレーバーも維持されていることがわかった。
これも、しけた食品が好まれない理由の一つと考えていい。
私たちがパリバリ感やサクサク感を求めるのも不思議ではない。
実際、世界中の消費者がそれを求めている!
(中略)
私たちの脳にとって、食べ物や飲み物に脂肪が含まれているかどうかを直接判断するのは難しい。
どうしてだろうか?
多くの場合、脂肪の存在は甘味や塩をはじめとしたほかの味物質に隠されているからだ。
クリームやオイル、バターやチーズの場合はそれ自体が喜ばしく心地よい食感として認識される一方で、
乾燥したスナック菓子の場合、脳がこれまでの経験(つまりそうした食品との接触)を通じて、
パリッと音を立てる食品には脂肪が含まれていることを学んできたのではないだろうか。
したがって、
パリパリ、カリカリといった音が大きければ大きいほその食品が含む脂肪が多いと脳が考える。“
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パリパリ、カリカリ。。。て経験によって脳が反応するですね〜。これはスゴイ!!
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”広告主の多くは、音の可能性にすでに気づいている。そのことをマーケティング専門家
が見逃すはずがない。彼らの多くは、スクリーン上で製品が開けられるとき、注がれるとき
消毀されるときなどに生じる音に人々の注目を渠めようとする。
たとえば、広告会社のJWTはプラジルで行ったキャンペーンで、
氷で満たしたグラスにコカ・コーラを注いだときの音を強調した。
マグナム・アイスクリームの広告で耳にするチョコレートコーティングの割れる音や、
昔ながらのキットカットのアルミ箔の包み紙にそって指を滑らせたときの特徴的な音なども
人々の注目を得るための手段だ。
あたは、ほかにどんな特徴的なパッケージ音を知っているだろうか?”
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“メルバトーストとパテの組み合わせに人気があ
るのはどうしてだろうと、あなたは不思議に思ったことがないだろうか?
これは、おいしいけれど音のないもの(パテ)と大きな音を発する要素(カリカリのトースト)
を組み合わせた典型例と呼べるのではないだろうか?
そう、両極端な食感が含まれているのである。
(中略)
実際に多くの例で、音が加わることによって料理のフレーバーもよりよく感じられるのである。
すでに見たように、最近行われたもっとも興味深い調査を通じて、
食べ物の音が強化されることで、そのフレーバーも強くなることがわかっている。
J.S.アレンも、
音の大きな食品のほうが静かなものよりも飽きられにくいことをほのめかしている。“
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本当に面白い文章ばかりです!
「おいしい」と「脳」の関係。音とおいしいの関係。本当にいい本でした!
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ガストTVCMより