CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?105
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今日は、トヨタ・iciなどの多国籍企業のデザインコンサルティングもしている
オックスフォード大学の心理学者 チャールズ・スペンス著
「おいしさ」の錯覚 (角川書店)
からメモしていきます。
2018年初版なのですが、正直「もっと早く読みたかった〜」と感じました。
世の中はどんどん進化していきますからね。。。
「おいしさ」の最前線を見ることができ、とても勉強になりました。
「おいしい」という感情は錯覚?
とても面白い本です!!
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今日は見た目、視覚の文章からのメモです。
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”脳は人間の臓器のなかでもっとも多くの血液を必嬰とする器官で、
重さは体重の2パーセントにしか相当しないのに、
全血流量(つまりはエネルギー) の25パーセントが使われる。
食べ物を見つけるために人間は脳を発逹させてきたという説を正しいとするなら、
ほかのどんなときよりも、空腹時においしそうな食べ物の絵や写真を見たときの脳内の血流が増える
ことが明らかになったと聞かされても、さほど驚くに値しないだろう。そこにおいしそうな
食べ物のアロマを加えれば、流れる血液の葉はさらに増える。
また、まばたきほどの短い時間で、脳は目にした食べ物を私たちがどのくらい好むか、
どのくらい栄養があるかを判断する。以上のことを前提として、ガストロポルノとは何なのか、
その言葉の裏にどんなアイデアが隠れているのか、見ていこう。”
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脳はエネルギーの25%も使用してるんですね!!
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“おいしい料理のことを考えただけで、おなかがぐうぐう鳴りはじめた経験は誰にでもあるだろう。
多くの場合、ガストロポルノあるいはフードポルノを眺めると唾液が出てくるだけでなく、
食べ物が入ってきたときの準備として内臓の中で消化液の分泌も始まる。
おいしい食べ物について書かれた文章を読むだけで、同じような変化が生じることもあるそうだ。
とてもおいしそうな食べ物や食べたくてたまらない料理などの映像に対する脳の反応を調べたところ、
味覚や報酬に関係する領域(島皮質・弁蓋部と眼裔前頭皮質)も含め、
脳領域のネットワークが全体的に活性化することがわかった。
(中略)
「最初の味は目で感じる」。
ローマの食通にして著作家のアピシウスが語ったとされる言葉だ。
2014年と2015年、食べ物はインターネットで検索されたカテゴリーの第2位を占めていた(1位はポルノ)。
したがって、食べ物のイメージの氾濫はマーケティングや食品メーカーや料理人の責任ではない。
私たちの多くが自ら食べ物のイメージを探しているのであり、そうする人の数は増える一方なのだ。”
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見ただけでヨダレが出るビジュアル。食べなくても脳と内臓が反応するんですね。
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次は食べ物の形(丸い・尖っているなど)の文章のメモ。
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”なぜ私たちは形と味を結びつけるのだろう?
1つの理由として、人類の進化を挙げることができる。尖った形、苦さ、炭酸化したものは
進化の過程で危険や脅咸と結びつけて考えられてきた。尖っているものは武器か
もしれないし、普いものには毒がある可龍性がある。酸っばさや炭酸化は、その食べ物が
食べごろを過ぎた、あるいは腐っていることのシグナルとして理解されていた。
その一方で、甘いものや丸い形はポジテイプな連想を呼び起こす。
つまり、私たちは自らそれらを同時に体験したことはないにもかかわらず、
同じような印象を受ける刺激を同類のものとみなしている可能性がある。
(中略)
2013年、キャドバリーは同社を代表するチョコレートバー「デイリーミルク」の形を
刷新し、角に丸みを帯びさせたのだが、その結果、チョコレートの重足も数グラム目減りした。
すると、大勢の消喪者が抗議の手紙を書き、電話で不満をぶちまけた。量が減ったからではない。
彼らは、メーカーがチョコレートの製造方法を変えたため、お気に入りだったチョコレートが
以前より甘く、クリーミーになったと思い込んだのである。
しかし、モンデリーズ・インターナショナルのスポークスマンはこう語った。
「大人気商品キャドバリー・デイリーミルクの形を以前の四角形から丸みを帯びたものに
変えたことは確かですが、そのレシピには一切の変更を加えておりません」。
(中略)
チョコレートでできたことは、ほかの食品でもできる。ビーツのゼリーにしろ、チョコレ
ート菓子にしろ、丸い形につくれば、人々の多くはそれをまったく同じものを四角い形で出
したときよりも甘いと感じるだろう。
(中略)
カフェラテの上にちりばめるチョコレートの形を変えるだけで、飲む人の味に対する
”期待”を変えることもできる。オーストラリアのパリスタたちの協力を得て行った私たちの研究では、
振りかけるチョコレートを星の形にすれば、丸みを帯びた形にしたときよりも、
人々はカフェラテの味をより苦いものと予想することがわかった。”
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嘘のような本当の話ですね。丸いと甘く、尖っていると苦く。。。いや〜面白い!
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“「ガストロポルノ」という言葉が最初に使われたのは1977年に書かれた機知に富んだレビュー記事で、
その記事はポール・ボキューズのフランス料理の料理本のことを「ガストロポルノの高価な教本」と描写し
た。この言葉が広まり、のちにヌーベルキュイジーヌ、そしのちに「コリンズ英語辞典」にも
「極めて官能的な表現の料理」を意味する単語として収録されたのである。
「フードポルノ」という言葉を好んで使う人も多い。ただし、二つは同じ意味で使われている。
現在では、自分たちの料理の写真映えのよさを気にかけるシェフが堆えてきた。次に出版
する自分の料理本を飾る、美しいフルカラーページ用の写真のためだけではない。
あるレストラン・コンサルタントはこう説明する。
「最近では、インスタグラムで見栄えするように料理をつくるレストランが存在することは間違いない」。
確かに、見た目に俊れた美しい盛り付けの料理を出す、あるいはレンガやこてやハンチング帽などのような
普段決して盛り付けに使わないような道具を用いれば、シェフたちは自分のつくった料理にさらに多くの
注目を梨め、デジタル世界における存在感を培すことができるかもしれない。”
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第一印象は、食べ物も人も大事ですね。
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“動きのあるタンパク質(たとえばあふれ出る卵黄)は、「卵黄ポルノ」と呼ばれている。
信じられないかもしれないが真剣な話だ。卵黄ポルノは、食品画像の最新トレンドで
あるだけでなく、中毒性すらある。
(中略)
マーケティングの専門家がよく理解しているように、そのような
「動きのあるタンパク質」(プロテイン・イン・モーション)は人の関心を引く。
私たちの目(いや、むしろ脳)はそうした映像に魅了されるのである。
食べ物(とくにエネルギー価の高い食品)のイメージは、動きのあるものと同じぐらい
私たちの視覚を刺激する。
したがって。その組み合わせであるプロテイン・イン・モージョンは、
まさに私たちの脳が視党的に発見し、追跡し、集中するタイプの強力な刺激だとみなせる。
イギリスの小売業者であるマークス&スベンサー(M&S)は過去10年以上、とてもスタイリッシュで
華麗なイメージを用いたフードポルノを広告戦略に採り入れてきたことで評判となった。
同社の広告を調べてみると、じつに多くのプロテイン・イン・モーションの例を見つけることができる。
なかでももっとも有名なのは2005年につくられた広告で、そこでは中心が少し大げさなほど溶け出した
チョコレートプディングが映し出されていた。そこに象徴的な言葉のナレーションが加わる。
「これはただのチョコレートプディングではない。マークス&スペンサーのチョコレートプディングだ」。
のたった―つの広告が売上にどれだけ貢献したか、あなたには想像ができるだろうか?
じつに3500%の売り上げ増だった。
(中略)
食べ物に動きをつけて見せる理由は、もう1つある。
動きがあるほうが新鮮に感じられておいしそうに見えるからだ。
コーネル大学で食品心理学とマーケティングを研究するブライアン・ワンシンクたちによると、
人は1杯のオレンジジュースの写真を見るときグラスにジュースが注がれているときの画像のほうを、
すでにジュースで満たされたグラスの写真よりもはるかに魅力的に感じるそうだ。
どちらも静止画だが、動きのあるほうに興味を引かれるのである。
それだけで、商品の魅力を上げるにはじゅうぶんなのだ。”
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私が撮影してきたシズル映像が、本書によって正しかったことがちょっとわかりました。
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“クバンでは、視聴者はスクリーンに映る人物と一緒に食事をしているような気になるのだが、
食べ物のイメージがもっとも魅力的に感じられるのは、
見る者の脳がそれを食べている自分の姿を容易に想像できとき、
つまり、主観的な視点(一人称視点)から食べ物を眺めている映像であることが、
研究を通じてわかっている。主観視点で眺める食べ物のほうが、
他人の視点(典型的なマクバンのような三人称視点)で見る食品より、高い評価を得るのである。
マーケティングの専門家たちは、その食べ物を自分で食べている姿を想像しやすい広告が、
消費者の気に入りやすいことをよく知っている。
例として、
即席スープの入った小袋を想像してみよう。パッケージの表には深皿に入ったスープがプリントされている。
そこに、右側から皿に近づいていくスプーンを加えるとスプーンを左から近づけた場合よりも、
消費者の購買意欲は15パーセント上昇する。
なぜだろうか?私たちの大多数が右利きだからだ。”
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主観映像は、食べている人の想像に近い方がいい。ですよね。
とても、勉強になりました。
出典:lbbonline.comより