CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?108
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今日は、「ふわとろ」B·M•FTことばラボ著 からメモしてみます。
この本の裏表紙にはこう書かれています。
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”この本を編集したのはB·M•FTことばラボです。
私たちは、「ふわとろ」「もっちリ」「とろーり」「うまみがある」「焼きたて」などの
飲食を誘う力をもつ言葉をシズルワードと呼んでいます。
ことばラボは、SNS、マスメディア、広告、パッケージ、メニュー、おしゃべりで
使われているシズルワードを集め ています。
集めたシズルワードは、昆虫の標本箱のように整理します。
そして、ことばの意味の関連性や共感覚性を考えた り、ことばの響きから連想を
めぐらしたり、シズルワード が食べ物や人の関係を動きまわる様子を
描きだしたり していきます。
ことばラボはシズルワードの博物館を目指します。
そし て、博物館の展示から触発されるように、私たちの感覚 と感情をぴったりと
表現するシズルワードとその素敵な 使い方を見つけていきたいと考えています。
この本では、ことばラボは字引きを担当、おつきあいのある人たちや
シズルワードからつながりができた人たちの力を借りて、この本をつくりました。”
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この文章からもわかるように、おいしい(シズル)に関連した方が次々に登場します。
とても興味深い方ばかりの文章でした。
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B·M•FTことばラボさんは、「SIZZLE WORD-シズルワードの現在」という素晴らしい
シズル言葉に特化したリサーチ、分析の本も出版されています。
シズルコピーを書くときには、必読ではないでしょうか!!こちらの本も良本です。
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今日は、平塚に本店、湘南に十数店舗を運営している「葦」の芦川治さんの言葉をメモします。
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”日本人にとってのおいしさ、
それは甘さをコントロールして軽くすることなのです。
軽くするとはつまり、空気をいっぱい入れること。
例えば生クリームを使う場合、脂肪分が45%、
35%のものがあるのですが、35%の方が空気をたくさん取り込んで軽くなる。
しかし35%の生クリームを100%泡立ててしまうと、
今度は軽すぎて口どけが悪くなるので、60%くらいに留めます。
口どけやコクとのバランスを考えて軽さを追求する。このように、
フランスの伝統的なお菓子を日本人に合うようにアレンジしているのが、
葦の強みになっていると思います。”
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当たり前のことですが、甘ければいい。と言うだけの問題ではないんですよね。
経験の蓄積から甘さをコントロールしているんでしょうね。
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次は、金蔦の盛山貴行さん。
”シェフが作り出す料理はフランス料理をベースに、イクリアン・スペインなど各国の
食のエッセンスや食材がプラスされ、時には科学的手法を用いた新しい調理法で新しいカタチと
食感が表現されます。その、型にとらわれず、新しいことにチャレンジする姿勢や考え方には
強い感銘をうけました。
そして、「おいしい」ということは味だけではなく、そのテクスチャーや形・色・口に入れて
飲み込むまでの口の中で起こる変化、器はもとより食べる空間や景色にまで
つながっていける感覚だと思うようになりました。”
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おいしいを文章にすると、こうなるんだ!と再発見です。素晴らしいの一言です。
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次は、骨董通りの小笠原会館の地下の行列店。「ふーみん」の斎風瑞さんの言葉。
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“料理を楽しむには味覚だけでなく五感も大切で、京料理や懐石料理の盛り付けなどは
おいしさを目でも楽しむことはよく知られている。
ある時、斉さんはお客様から「料理は目でしろ」という料理のコツのアドバイスを受ける。
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神宮前のお店の頃、いちいち味見をしていたら、ある時「料理は目でするものだ」と言われ
たことがあります。
舌の味は体調で変わります。だから「味を見なくても目でしろ」と言うのです。
言われた当時はどういう意味かわかりませんでした。
でもその言葉はずっと気持ちの中に引っかかっていました。で、ずっと続けてきて、
あー、こういうことなのだってわかるようになったのは本当に最近のことです。
あの当時言われた「料理は目でしろ」ということが毎日続けている中でわかってきたのです。
調味料を取るにしても、その瞬間はやっぱり目なのです。例えば風邪をひいて体調がわるくて
味覚がおかしくなっている時に、目でいつもやっている量を確認していると、
ちょっと熱っぽい時にはちょうどいい味はこういう味なのだなとか、
こういう風に感じられるのだなとわかるのです。
若い時にはピンと来なかった「料理は目でしなさい」という言葉は凄く印象に残っている
言葉です。”
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次は、神保町の「手打ちそば わたる」の渡邊さんと北村さん。
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”
蕎麦そのものとは別に、具のあるお蕎麦のおいしさというものもあります。
例えば、卵とじ蕎友だと卵が入り、鴨南蛮だと鴨のうま味が入るのでまた
違った味とか香りになります。
卵とじだと固まる時にだしを吸ってふぁーと固まって卵が蓋のようになります。
茶椀蒸しのような卵の甘みとふんわり感を楽しみつつ同時にお蕎麦を楽しめます。
鴨の場合は、鴨のガツンといううま味があり脂の甘みと肉のうま味が蕎麦によく合います。
うま味というのはアミノ酸が中心で、組み合わせることによってうまみ味の相乗効果が生まれます。
例えば昆布とかつおと鶏と三種類あれば、寄せ鍋のように何倍もグーンとおいしく感じます。
また、油もおいしさをつくります。
蕎麦には油がないので少し油が入ることでとてもおいしくなります。
温かい蕎麦に天かすを入れたりしますが、あれでコクが出るのです。
蕎麦はシンプルなので油を足されると、奥行きと深みが出ておいしく感じることが多くなります。”
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そばが食べたくなってきました。
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少し長くなってきたので次回にまわそうと思います。
