CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?109
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今日は、「ふわとろ」B·M•FTことばラボ著 からメモしてみます。
この本の裏表紙にはこう書かれています。
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”この本を編集したのはB·M•FTことばラボです。
私たちは、「ふわとろ」「もっちリ」「とろーり」「うまみがある」「焼きたて」などの
飲食を誘う力をもつ言葉をシズルワードと呼んでいます。
ことばラボは、SNS、マスメディア、広告、パッケージ、メニュー、おしゃべりで
使われているシズルワードを集め ています。
集めたシズルワードは、昆虫の標本箱のように整理します。
そして、ことばの意味の関連性や共感覚性を考えた り、ことばの響きから連想を
めぐらしたり、シズルワード が食べ物や人の関係を動きまわる様子を
描きだしたり していきます。
ことばラボはシズルワードの博物館を目指します。
そし て、博物館の展示から触発されるように、私たちの感覚 と感情をぴったりと
表現するシズルワードとその素敵な 使い方を見つけていきたいと考えています。
この本では、ことばラボは字引きを担当、おつきあいのある人たちや
シズルワードからつながりができた人たちの力を借りて、この本をつくりました。”
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この文章からもわかるように、おいしい(シズル)に関連した方が次々に登場します。
とても興味深い方ばかりの文章でした。
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B·M•FTことばラボさんは、「SIZZLE WORD-シズルワードの現在」という素晴らしい
シズル言葉に特化したリサーチ、分析の本も出版されています。
シズルコピーを書くときには、必読ではないでしょうか!!こちらの本も良本です。
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今日は、鳥山畜産食品株式会社の鳥山さんからのメモです。
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“でも私たちは10年前から、脂身の多い霜降り肉の牛産に注力することをやめました。
脂質系と増体系をうまくかけあわせ、肉のうま味や柔らかさを重視した
赤身のおいしい牛肉を目指した生産にシフトしたのです。
霜降りをA5とするなら、私たちが狙うのはA3~A4です。
脂肪のない爽っ赤な肉がいいと言っているのではありません。
和牛らしいおいしさにとって、脂肪はとても大切です。でも、ほどよい脂肋割合の牛肉こそが、
今の消賛者のニーズだと考えています。”
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霜降りより赤みのが多い牛肉の方が好みです!少し霜降りに偏り過ぎている気がするので
とても良い傾向だと思いました。
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次は、ゴルパン アンド アソシエイトの浅野シェフからの言葉です。
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“おいしいという評価は曖昧で、食経験が豊富で味の感度が高い人もしれば、それほどでもない人もいます。
全体の比率でいえば後者の方が多いでしょう。
食感度の高い人のおいしいと感じる商品が、売れるとは限らないのです。
多くの人がおいしいと感じる商品が商売になります。
では何をどう表現するかといえば、ます訴えかけられるものは香りです。
どんなに優秀な映像モニター装置でも香りは出せません。
だから香りかないものは、記憶に残らない。「味=香り」です。
香りから入って、舌を通して、喉が記憶する。舌は器官でしかなく、味を識別できません。
認識をするのは脳なのです。”
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おいしいが難しい理由がよくわかる文章です。全ての感情は人それぞれなんですよね。
商売になる=感度の低い人向けと言うわけでは決してないはずですから、
どこかに頃合いがあるはずです。
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“私の中で、食感という要素もとても大事です。
例えば、サクサクしたパイ生地の上にプリプリしたミカン、
カリカリしたクルミを組み合わせたとします。
違うタイプの3つの食感を組み合わせることで、より複雑に変化していきます。
食べていて、口の中が楽しいと感じられるのが料理だと思いますので
―つの料理の中にいろんな要素か入っていることがいいのです。
そういう料理が持っているエンターテインメント的要索が、
記憶に残る体験につながっていくのではないでしょうか。”
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記憶に残る食体験。食は口だけのものではないですもんね。
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最後にオノマトペについて、武藤彩加さんの文章をメモしておきます。
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”日本語の食に関するオノマトペの数と偏りについても触れておきましょう。
歯ごたえを表し、かつ食品に対するプラス評価を表すものが最も多く
(サクサク、パリバリ、コリコリ、シャキシャキ・・・)
ついで乾-湿を表し、食品に対するマイナス評価を表すものが多くあります。
(スカスカ、モゾモゾ、ジメジメ、ベタベタ・・・)。
そしてわれわれは、食品に対して十分な熱さ、冷たさを期待し
(アツアツ、ホカホカ、ヒンヤリ、キーン)、
淡泊な味をおいしいと感じます{アッサリ、サッパリ、スッキリ)。
さらに、弾性(プリプリ、ムチムチ・・・)や粘性(トロトロ、ネットリ)
を表すものが多く食物の評価に関わるという点も日本語の食に関する
オノマトペの特徴の1つです。
つまり私たちは、素材に適した歯ごたえがあるか、十分にあったかい(あるいは冷たい)かを重視し、
そして弾性や粘性にもこだわります 。乾燥しすぎていたり湿気がありすぎたりしてもだめです。
このように、日本語の多種多様な食に関するオノマトペには、
私たち日本を母語とする人々の食に対する意識が反映されています。”
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オノマトペから、日本人の食に関する意識を見ていく。とても興味深い視点でした。
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「ふわとろ」。面白い本でした。

サーティーワン TVCMより