CMディレクター 仲野哲郎の「シズル」って何?126
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今日は、数々の著書がある本田直之さんの「なぜ、日本人シェフは世界で勝負できたのか」
を読んでみました。
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ミシュラン三つ星シェフをはじめ星付きシェフ、現地でレストランを営み活躍する
15人の日本人シェフにインタビューした内容が書かれています。
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タイトル通り「なぜ活躍できているのか」その答えがここには書かれていました。
現役シェフの生の声が、とても面白く、有意義な本でした。
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では、さっそく。
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“「ソースで味をつけずに、それぞれの素材の持ち味を引き立てる、いわば和食に近い考え方です。
いつも教えられていたのは『野菜にも肉にも魚にも、ストレスを与えないように、
その素材の気持ちになって扱いなさい』ということ。本当に素材に敬意を払った仕事をしていましたね」”
(佐藤伸一シェフ)
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“「いつもシェフに『なんでこの料理をつくろうと思ったんですか?』と聞いていたんです。
すると、ここにはこういう食材があって、こういう季節だから、という理由を教えてくれます。
日本人って理由を聞かないで、レシピだけを覚えちゃうんですよね。
それだと自分がもしお店をやったときに、たぶん困るだろうなと思っていたんで」”
”「競争の原理にのって競争しているとで自分に安心感を与えている人もいるじゃないですか。
頑張っているって、自分から言いたいというような。
でも、競争なんてしない方がいいですからね。
モノポール(独占)になることのよさに、みんなもうちょっと気づいたほうがいいと思いますね」”
(松嶋啓介シェフ)
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”「スタッフが足りないからうまくいかない」と考えるのは簡単です。
たとえばこれは仕事で、「予算がないから結果が出なかった」というのと同じ。
それより、予算がない中で結果を出すにはどんなチャレンジができるか、と考えることが大事だと思います。
日本人スタッフ中心で営業しているにもかかわらず、最近では「サービスがよかった」と
言ってもらえることも多いそうです。
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「ホスピタリティって、伝わってくるじゃないですか。それは外国人であっても、日本人であっても、
変わらないと思うんですね。
もちろん、言葉としては少し足りないかもしれないですけど、一つひとつのサービスの動作だったり、
きめ細かさについては、他のレストランに負けてないと思うので」”
(新居剛シェフ)
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”「イタリア人と同じレベルだったら勝てないですよね、もっと突き抜けてないと。
すごく大変ですけど、そのためなら自分はいくらでも努力をします。そして、そういうポジションを
与えてくれたオーナーに、すごく感謝をしています」。
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そのこだわりのひとつが、温度管理。
彼はワインをサービスするとき、温度計を使って、徹底的に温度を測ります。
もちろんイタリア人ソムリエで、そんなことをする人は皆無ですから、
お客さんは「ここまでやっているんだ」となるでしょう。こ
のようにワインの知識はもちろん、小まめなサービスや丁寧な説明をすることで、
徐々にお客さんの信頼を得ていったのです。”
(林基就ソムリエ)
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“「このハンバーグがおいしい理由はなんだろう。熱々だったからなのか、ソースの濃度なのか、
結果には必ず原因があるはずです。
だから自分なりに解釈して、成功した理由を探る。その理由は、必ず別の何かに応用できるでしょう。
逆においしくないなと感じたときにも、それがなぜなのかを考える。
その問題を改善すれば、はるかにおいしい料理がつくれますから。
まったくのゼロから新しい料理を生み出すのはすごく大変です。
でも、今あるものを改善することは簡単だし、それをするだけではるかに良いものができるのです」。”
(岸田周三シェフ)
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折ったきゅうりは料理か?
“「ただ半分に折って渡しただけだったら、まだそのキュウリは素材かもしれません。
でも、それが採れたてで、水滴が垂れるほどみずみずしくて、調理するより折ってかじって食べたほうが
おいしさが伝わるとしたら料理になる。
伝えるのはすごく難しいけれど、これこそ日本料理。
その精神があるから、ここまで来れたんじゃないかって思うんです」
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やっていることは同じなのに、料理か料理でないかが変わる。
なんとも哲学的な話ですが、日本料理というのは、そうした精神性をまとっているものだという話でした。
こうした考えにたどり着いたのは、ここ数年のこと。
店を出して数年間は「料理とは、クリエイティブを表現するものだ」と信じていて、
海外のテクニックを日本料理にアレンジすれば面白いのではないかと考えていました。”
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”「粘土細工でマリア像をつくるのと、一本の木から観音様を彫り出す。どちらも同じ神様なんですが、
日本料理はやっぱりピュアな部分を掘り出す後者の精神になると思います。
たとえば、お刺身っていう料理を作るんじゃなくて、魚の中に
にもともとあるものをどうやって取り出して伝えていくか。そこに良さがあると思うんですね」”
(山本征治シェフ)
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多くの身になる言葉が出てきました。
良い本でした。