CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?71
今日は、94歳の現役料理家の桧山タミ大先生の著書からのメモです。
1926年、福岡県生まれ。日本の料理研究家の草分けとして知られる
故・江上トミ先生の愛弟子として戦前・戦後を通じて学ぶ。
戦後、江上先生とヨーロッパ各国を巡り、その後も海外へと出向き、世界の料理の歴史や食材の見識を深める。
「桧山タミ料理教室」を主宰。
では、さっそくメモしていきます。
”ものを買う価値観もそう。わたしの欲しいものも、宝石より古い梅干し、ブランドのバッグより重たい鉄鍋だったりします。
だって鍋は、おいしいものを何度もつくって家族を楽しませることができるもの。
流行のバッグは一時の幸せ。鍋がくれるのは一生の幸せ。
その喜びはずーっと心に残るでしょう?”
”日本の土は酸性なので、ヨーロッパの野菜などに比べると、野菜に含まれるカルシウムがかなり少なそうですよ。
海に囲まれた島国に住むわたしたちの祖先は、
昔から大豆や野菜と魚介のカルシウムを一緒に食べて栄養バランスをとっていたのでしょうね。”
”都会のビルの中で暮らしているとつい忘れがちですけど、わたしたち人も、自然とつながって生きているんですよ。
頭がどーんと重くなったり膝が痛んだりすると、「明日は雨やね」と感じたりするでしょう?
ですから気候の変化に敏感になって献立を考えることは、健康でいるために大事なことなんです。
ちょっと早起きして空を眺めながら、家族の顔を浮かべて、今日のごはんを
考えてみてください。(中略)
家庭の料理は、ただお腹をいっぱいにするだけじゃなく、
家族の疲れたからだを整え、明日の栄養を授けるためのものですからね。”
”元気に動くからだ。その活動の源は、日々口にする家のごはんです。
命につながる食べものは、口に入れたが最後、取り出すことはできません。
最近の女性は、毎日のごはんを出来合いのお惣菜に頼る人も多いそう。
お金で手軽に買える食事は、口先は満足させられるかもしれないけれど、
胃袋はどうかしら?
心と胃袋は直結しています。
外食やお惣菜が続くと、栄養は足りていても、胃に疲れがたまり、それが心の欲求不満にもなりますよ。
家族の年齢や好みに合わせて愛情を込めてつくる家庭料理は、損得なしでつくる、お金では買えない味。
これに勝るものはありません。ですが、「いつもおかずをたくさん食卓に並べなくちゃいけない」
と思い込んでいるとくたびれてしまいます。
日常の食事は、「さっとつくれるごはん」でいいんです。”
”食という漢字は「人に良い」でしょう。人を良くすることができることが、「食」なんです。
「衣食住」と言うけれども、何より鋭敏な心とからだをつくるのは、絶対的に食事です。
食事は食べ終わってしまえば、消えてしまうもの。
けれど確かに心とからだの養分につながっています。
たとえばいまの食事で気になるのは、歯ごたえ。
「やわらかい=おいしい」と言われるこの頃、やわらかいものばかり食べていて、
子どもの歯も細く弱くなっているそうです。よく噛んで味わうことをしないと、噛む力がなくなって頭もボケてしまいますよ。
苦しいこと、辛いことがあっても、ぐっと歯を食いしばって耐える。
丈夫な歯を持つ子になるように、養分になる料理に心を配りましょう。”
桧山タミさんの優しさが伝わる文章でした。