CMディレクター 仲野哲郎の「シズル」って何?111
–
–
今日は、「うまさ究める」伏木亨と未来食開発プロジェクト かもがわ出版 2002年初版
からメモしていきます。
–
の著者でもある、京大教授の伏木さんと11人のメンバーが未来の食への展望を語った
本になります。
この本も、大変面白く興味深い話がどんどん出てきます。
–
今日は、この中から喉ごしについての文章をメモしておきます。
–
“飲みこむことによるおいしさは種々の感覚情報による総合的なものである。
とくに嗅覚の助けなくしておいしさは得られない。
そのことは風邪をひいて鼻詰まりになると、食べものがおいしく
感じられないことからもわかる。
食べものや飲みものを飲みこんだときに口から鼻に抜ける香りがある。
この香りと味が一体になった感覚を風味とかフレーバーと呼んでいるが、
この感覚は飲みこみによって完全なものとなるのだ。
しかし、そんな難しいおいしさより、飲みこむこと自身が快感ではないかと
思うときがある。
うどん、それもコシのある讃岐うどんである。
口に入れると格闘が始まる。味わっている暇はない。
口の中を暴れ回ったあと、のどを生きもののように突っ走っていく。
「ごくん」と飲むたびに快感を覚える。これはまさに「のどごし」の感覚である。
ビールやお洒ののどごしの感覚とは違うものだ。
ひょっとすると、これは鵜飼いの鵜が魚を呑みこむときに感じる
快感と同じものかもしれない。これこそ原始の快感である。”
–
呑み込むことの快感。うなずけます。
–
次に、おいしい出汁の塩分濃度についてのメモです。
–
“のどごしのおいしさが、
うどんのような強い刺激による快感であるということでこの章を終わっては
繊細なのどの感党に申し訳ない。
本章のはじめに述べたお椀のだしの味について一言。
だしの味はグルタミン酸と核酸が主な成分であるが、
おいしいだしには塩味の濃さが決めてだといわれている。
吸い物の塩分濃度は0.7%から0.9%くらいが一番美味しいそうだ。
おもしろいことにこの濃度は人間の血液の濃度に極めて近いのだ。”
–
–
“生きる喜びを得るには人間は外部からさまざまに刺激される必要があり、
おいしい食品もそうあらねばならない。
おいしさは味蕾の細胞を化学的に刺激するこであるが、
それだけでは食快感の説明がつかつかない。
口腔やのどに分布する全神経を物理的・化学的に刺激することで強い快感が生まれる。
味わうだけで飲みこまなかったとしたらどうだろうか。
おそらく、食べる快感は得られないだろう。
この刺激は相当激しくてもよいようで、
食べものによる温度刺激は体温との差があればあるほど好まれる
(体温に近い液体を飲んでもおいしくない!)。
ヌルヌル、サクサク、ポリポリ感などの触覚も大いに結構、ときには口腔
や食道粘膜が傷つくのも忘れて食べることがある。
口の中だけではなく、嗅覚や聴覚(タクアンや煎餅を食べるときのポリポリ,
バリバリという音)も刺激されると快感は一層増す。
脳はこうしたウイルドな刺激に麻痺しがちで、ますます刺激の強いものを
欲するようになる。
カレーやわさびの辛さは、慣れるとますます強烈なものを好む場合があリ、
ときには「痛さ」を感じるほどだ(痛さと快感とは紙一重である)。
では、いくらでも刺激してよいかというと、
困るのは胃と腸である。冷たいもの、辛いのを摂りすぎると下痢をおこしてしまうだろう。
胃や腸の味細胞は舌の昧細胞と同じく、マイルドで体に優しいものをよしと判断する。”
–
–
喉で感じるおいしさ。視点を少し変えてみるだけで新しい発見が次々とあるんですね。
–
今日はここまでにします。
