CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?58
今日からは、またまた面白いテーマ「おいしい」となぜ食べすぎるのか
山本隆さんの著書です。大阪大学の教授で脳科学と味覚生理学が専門のようです。この本も読みやすく楽しい本でした。
今日は、その中から「アルコール/キムチ/ピーナッツ&えびせん」からメモします。
”アルコールがだんだん好きになるのは、「味覚嗜好学習」によるものと思われます。
味わったあとで、アルコールの薬理作用による弱い麻酔作用、つまり快感を伴うほろ酔い気分がわかるようになると、学習プロセスの始まりです。
アルコール飲料の味を中心とした口の感覚と、ほろ酔いの快感が結びつき、
ついにはアルコール飲料そのものがおいしくなり、好きになってしまうのです。
このとき、次の章で述べる脳内麻薬様物質が放出されるようになり、
その魅力にはまってしまうのです。”
”キムチにかぎらず辛いものは、私たちをやみつきにさせます。
それは辛味の素であるカプサイシンが、痛みの神経を刺激するというところに秘密があります。
私たちの体は痛みの刺激を受けると、大脳の感覚野に情報が送られて痛いと感じますが、情報は脳の視床下部というところにも送られて、二つの作用を引き起こします。
ひとつは、交感神経の刺激。つまり、辛いものを食べると、汗をかき、ブドウ糖、グリコーゲン、脂肪を燃やすなど、体のエネルギー代謝量が増えますので、肥満解消に役立つという話に発展します。
もうひとつの作用は、脳内麻薬として知られるβ-エンドルフィンを脳内に放出することです。このβ-エンドルフィンには強力な鎮痛作用があります。
痛みの感覚を抑えるために放出されるのですが、この物質には別の作用として、至福感を引き起こしたり、おいしさを増強する働きがあります。
つまり、モルヒネのような麻薬としての薬理効果をもつので、辛い食べ物を繰り返し食べると、β-エンドルフィンがその都度出て、出ているときは幸せですが、ないときは寂しくて、それを求めるようになります。
それこそが「はまった」という状態なのです。ただし、間違えないでいただきたいのは、カプサイシンははまらせる素ですが、キムチやカレーのように食べ物全体としておいしいことが、やみつきにさせる基本条件だということです。”
”ピーナツやえびせんは食べ出すとやめられません。
じつは、これには二つの考え方があって、ひとつは、ひと粒ごとにおいしいからやめられないというオーソドックスな考え方です。
が、もうひとつは、口寂しいから食べるという考えです。
つまり、ひと粒食べただけでは満足できないから、満足できるまで次々と食べつづけるというものです。
動物の脳に電極を埋め込んでおき、レバーを押すたびに自分の脳に電気刺激が与えられるようにしておくと、
刺激部位によっては、レバーを立て続けに押し、電気刺激を求める行動が生じます。
電気刺激が動物になんらかの快感を与えるから、動物はその快感を求めてレバーを押しつづけるのだろう、と解釈するのが一般的です。
事実、ヒトでその脳部位(報酬系)を刺激すると、性的な快感が生じたと報告した人すらいるのです。
ところが、もうひとつの別の考え方があって、快感に手の届く一歩手前の状態を生じさせているのだというものです。
すなわち、手に入りそうで入らない欲求不満の状態というわけです。
コカインなどの覚醒剤依存症にしても、なぜコカインが欲しくなるのかという説明に、それを注射すると幸福感、陶酔感といった快感が得られるから、という考え方が一般的です。
ところが、ここでも禁断症状が恐いから、それが発現する前に注射をするのだ、という別の考え方が存在します。
このように、あるものを求めるときには、相反する2つの考え方があって、
両方が関与しくいると考たざるをえません。
ピーナツもえびせんも、おいしいけれどひとつだけでは物足りない(口寂しい)からにもうひとつ。
これを繰り返すことによってやめられなくなるのです。”
面白いような、、、少し怖いようなメモでした。