CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?75
今日のメモは山本隆さんの美味の構造-なぜ「おいしい」のかからのメモです。
この本。「おいしい」について次々とネタが書かれていて、一気に読み込んでしまいました。
大変、勉強になりました。
”食べるという行為は、口を介して食べ物を咀咽し、味わって飲み込むことである。
おいしく味わうためにはさまざまな感覚受容器がほぼ同時に活動し、
その神経情報が脳において結合される必要がある。
食べ物をおいしく味わうには、味覚が重要であることはもちろんであるが、
かぜをひいて鼻がつまっているとき、食事をしてもおいしくないことからわかるように、
においの要素も大切である。
ブランデーやワインなどのアルコール類や香辛料は、においの要素抜きでは成り立たない。
冷えたみそ汁もおいしくないし、湿ったせんべいも具合が悪い。
すなわち、温度感覚や触感(歯触り、歯ごたえ、舌触りのことで、食感とかテクスチュアともいう)も大切である。
食べ物をおいしく味わうには、味覚や嗅覚(この二つの複合感覚を風味とかフレーバーとよぶ)、
温覚、触覚などの化学感覚や口腔感覚を吟味する必要がある。
さらに、うどんをツルツル食べるとき、たくあん漬けをカリカリ噛み切るとき、数の子を噛むときなどの聴覚や、盛りつけ、色どり、といった視覚もおいしく味わうための大切な要素である。
以上述べた種々の感覚情報は、脳の中でも、とくに、大脳皮質前頭野、扁桃体、視床下部などに
すべて集合してくるので、それぞれの感覚が快感を呈するように作用すれば、おいしさも相乗的に増大するのである。
また、飲み込んだ後の内臓からの感覚も大切である。
適切な満腹感やカロリー摂取による内臓からの快感、あるいはお腹が痛くなったとか吐き気がしたとかの不快感は、食後に生じる場合が多い。
しかし、味覚情報は脳内に残像のように一時間以上は残るので、
ちゃんと内臓からの遅れてやってくる情報と照合することができる。
このようなしくみが食べ物の好き嫌い学習の基礎になっているのである。”
”味は同じだから、何の果汁かは、香りと色が決めていることになる。
目を閉じて味わっても何の果汁かはわかるが、目を閉じて鼻をつまんで味わうと、
もう単に甘い水と化してしまう。
つまり、香りが何の果汁かを決めているのである。
色は、今からオレソジジュースを飲むとか、イチゴジュースを飲むとかの予期的信号の役割を果たすだろうが、
たとえば、オレンジ色のイチゴドリンクとか、ブドウ色のパイナップルドリンクを作って飲んでもらうと、
もちろん見た目ではオレンジやグレープと予測するのだが、口に含めばすぐにイチゴとパイナップルだとわかる。
香りには鼻の穴からクンクンと震ぐ香りと、口に入った飲み物、食べ物の香り成分がのどの奥から鼻腔に逆流するように入って感じる香りがある。
飲食物の風味を感じるときは、この口の中から鼻に抜けてくる香りが重要だとされている。
鼻をつまんだり風邪をひいて鼻がつまる、この逆流もうまくいかなくなるものと思われる。”
嗅覚もおいしいの大事な要素なんですよね。
”異なった感覚種が協調的に働くか相反的に働くかは、遺伝的に決まったものと、
経験により獲得されるものがある。
たとえば、赤や橙の暖色系が甘味とよく合い食欲をそそるのは、
烈れて甘くなった木の実は赤く色つくことを進化の過程で身につけたことと関係があるのだろうとされている。
一方、醤油ラーメン、ソース焼そば、カレーライス、蒲焼き、ギョーザなどの
プーンとしたにおいを嗅いだだけでその食べ物を連想し、
思わずよだれが出そうになるのは経験による学習効果である。”
動物の頃からの記憶。生まれてからの経験による学習。とても面白いです。
次回に続く。