CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?78
今日のメモは山本隆さんの美味の構造-なぜ「おいしい」のかからのメモです。
母の味に代表される。嗜好学習についてです。
この本。「おいしい」について次々とネタが書かれていて、一気に読み込んでしまいました。
大変、勉強になりました。
”嗜好学習の実際-快の情動
人は多かれ少なかれ食べ物についての好き嫌いを持っている。
男女大学生188人(男子60人、女子38人)に対して、好きな食べ物に関する調査を行った。
質問内容は簡単で、「食品、くだもの、調理品あなたがも理品など何を含めても結構ですが、
もっとも好きな食べ物があれば書いて下さい。
過去の記憶と無すぎつけて何か思い当たる理由があれば、それも書いて下さい。」ということで自由に書いてもらった。
その結果、男女とも100%の学生に好きな食べ物があることがわかった。
その内容は表に示すように個人差が大きく、ある特定の食べ物に集中することはなかった。
また好きなった時期については、幼稚園、小学校で約七0%の人に好きな食べ物ができあがっていることがわかる。
食経験の拡大とともに好きな食べ物が増えるためか、
後で述べる嫌いになった時期に比べてより高年齢にまで広がっている。
好きになった理由としては、食べたときおいしかったからという、当然ともいえる回答が全員から得られた。
好きになる基本条件はおいしいことであることはわかったが、
数ある美味しいものの中でなぜそれが好きになったのかについてコメントを求めると、
母親の手作り、小さいころからよく食べた、誕生日やお祝いのパーティーの楽しい思い出と結び付いている、さらには、病気で入院中に食べたからといった理由が上位をしめた。
たとえば、野菜サラダが好きと答えた学生のコメントに「母が野菜にたっぷりマヨネーズをつけて味を消し、
これはとってもおいしいものだと何度も何度も言い聞かせ、私を洗脳したためだと思われます」というのがあった。
このように、愛情豊かな母親に結び付く思い出を語る人が比較的多い。
しかし、子供にとって父親も大切な存在である。
焼き肉が好きと答えた女子学生は、「単身赴任の父が帰ってくると
決まって焼肉だったから」と父親と揃って食事をすることの楽しさと結びつけている。
また、別の女子学生は、「父がよく日曜日に近くの喫茶店へ連れていってくれ、
『お母さんにナイショやで』と言って、イチゴジュースを飲ませてくれたのがすごくうれしかった」
と父親の思い出とともにイチゴジュースが好きになった理由を述べている。
親の愛情だけが好き嫌いを決めるのではない。
ジントニックが好きという女性は「私の彼がジントニックが好きだからです」と何とも微笑ましい発言をしてくれた。
恋人同士はお揃いの服を着たり、同化しようとするものであるが、食べ物の好みにもそれがあてはまるのだろう。
楽しい思い出、愛情豊かな思い出、若いカップルの愛など、すべて一言で言えば「快の情動」に結び付いた食べ物は好きになるということである。
好きな食べ物の個人差が大きいのは、そのような経験が人により千差万別であることを物語っている。
人としての社会生活や感情に基づくこのような嗜好性発現のしくみを、ラットなどの動物を使って明らかにすることは本質的に不可能である。
小さい頃から食べ慣れたものが好物になること、すなわち長期の経験が食嗜好性に影響を及ぽす可能性は動物実験でも検証可能である。”
おいしいには理由があるものも沢山あるんですよね。
本当にいい本でした。