CMディレクター仲野哲郎の「シズル」って何?94
今日は、「おいしさの科学」佐藤成美さん著からメモします。
この本は、2015年に開かれた日本科学会主催の公開講座「科学と食」。
その中で、8名の食の専門家から「おいしい」を語ってもらったものを編集し書籍化したそうです。
色々な立場の専門家が考える「おいしい」。とても興味深い話が沢山書いてありました。
「おいしさ」の科学 素材の秘密・味わいを生み出す技術 (ブルーバックス) 講談社 (2018/3/15)
今日はその中から「美味しいものは別腹の仕組み」をメモします。
”このように脳に集まったさまざまな情報が次々に伝達されることで、私たちはおいしさを感じ、食行動を決めています。
生命を維持するための本能的な食行動が視床下部で制御されていることはよく知られていますが、
「甘いものは別腹」とか「おいしいものは食べすぎる」など味覚によって引き起こされる食行動のメカニズムは不明でした。
しかし、近年の研究で、徐々に明らかになってきました。
脳は、甘いとかおいしいと感じると、胃腸の働きには関係なく、脳自身が空腹感を生み出しているようなのです。
たとえば、甘いと感じると、あるいはそのおいしさを想像するだけでも、βエンドルフィンやドーパミンという脳内物質が分泌されます。
βエンドルフィンは幸福感をもたらす脳内麻薬の一種で、ドーパミンは意欲をわかせる物質として知られます。
これらが分泌されると、オレキシンという摂食を刺激するホルモンが分泌され、食欲がわくといいます。
これが「甘いものは別腹」となるしくみです。
また、ラットの脳を使った実験では、脳の味覚や内臓機能を制御している領域に食欲を増す脳内物質(アナンダマイド)を与えると、
味覚を認識する領域興奮が胃腸の感覚を受け取る領域に伝わり、食欲が増すときのような神経活動が観察されたといいます。
ここまで述べたようにおいしさとは、食べ物を食べたときの「快感」です。
快感は大脳皮質で理知的に判断されるのではなく、扁桃体で本能的に感じるものなのです。
扁桃体で感じる「快・不快」の感情(情動という)は、動物の行動を理解するために使われており、動物は「快」をもたらす刺激には接近し、「不快」をもたらす刺激は遠ざけます。
そこで、食べることに「快」をもたらすことで、食欲という生命維持に欠かせない欲望を生み出しているのです。
「食べたい」と思うのはどの動物でも共通なので、人類以外の動物にもおいしいという感覚はあるのでしょう。
私たちは食べ続けなければ生きていけません。それなのに食べることが苦痛だったら、あっという間に、人類は滅びてしまいます。
そこで、生体は食べることに心地よさや喜びを感じさせるようになっています。”
胃腸の満腹を無視して、脳が食べたいと指令を出すと、人間はやっぱり食べちゃうんですね。