CMディレクター 仲野哲郎の「シズル」って何?114
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今日は、東北大学の准教授 坂井伸之さん著の「香りや見た目で脳を勘違いさせる」からのメモです。
サブタイトルの「毎日が楽しくなる応用心理学」とあるように、
「おいしい」や「におい」などを心理学・脳科学から語っている本です。
思わず、「なるほど」という文章が目白押しでした。
日常にも活かせる、文章がたくさん出てきます!
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今日は、その中からメモしていきます。
まずは、基本五味の意味からです。
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“▲甘味は、糖を主成分とし、体のエネルギー源となる。
▲うま味は、タンパク質の成分であるアミノ酸や核酸が主成分であり、体の材料となる。
▲塩味は、ミネラルで体の材料として重要。
▲酸味は、未熟なものや腐敗したものが多い。
▲苦味は、アルコールなどのように神経に作用する毒が多い。
(中略)
このうち、甘味、うま味、塩味の溶液を、生まれて間もない赤ちゃんにすこしだけなめさせると
笑ったり喜んだりすることから、この3つは人が生まれつき好きな味であることがわかっています。
つまり、生きるのに必要なものが好きな味なのです。
ただし、塩味については、高濃度になると嫌がります。食塩は極端にイヤな顔をします。
体液の濃度の1.5倍くらいになると、もうダメです。非常にしょっぱいので大人でも飲むことはでぎません。”
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“うま味の主成分であるグルタミン酸について、そのレセプター(受容体)が人間の胃や腸など
で発見されており、胃液の分泌を調整するなどの働きをしていることがわかっています。
こうしたことから、グルタミン酸などのうま味物質は、生き物にとって非常に重要な成分だと言えます。”
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パッケージと味の実験から。
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“2回食べたふつうのミルクチョコはまったく同じもので すが、
見ているパッケージが変わると味まで変わったのです。
通常、ブラックチョコのパッケージを見ると苦い味をイメージし、
ミルクチョコのパッケージを見る甘い味をイメージします。
視覚からくるイメージがあるため、同じチョコレートでも感じる味が変わったのです。”
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“味を感じるうえで風味が大きくかかわっていると述べました。
さまざまな実験から、風味が変わると感じる味も変わることがわかっています。
こうした現象を利用すると、いろいろなことができるようになります。
たとえば、いつも甘いコーヒーを飲んでいる人が、ダイエットのために砂糖抜きに
する場合、キャラメルやバニラなどの甘い香りを加えると‘、苦味が抑えられて飲みやすくなります。
これを抑制効果といいます。”
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“辛味は味覚ではないので、辛い料理に砂糖などの甘味を加えても辛いままです。”
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”そばにば. 呈味成分(食品中で味を示す成分)
(甘味、うま味、塩味、酸味、苦味などを憾じさせる原因となる物質)
といわれるものが 1つもありません。
しかし、「そばの味」という表現がよく使われます。
実は、ここでいう味とは、100パーセント、そばの香りのことなのです。
冷たいそばをすすって食べるのも、理由はそこにあります。
豪快にすするのは香りをいただくため」とのことですから
やはり、そばの香りが味をつくっていることを認識されているようです。”
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蕎麦に味がないっ!!!知りませんでした。
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”私たちは、 食べたことがないものは基本的に 「イヤだ 」「 まずい」と感じるようにできている。”
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“ブランドがわかった状態で飲んでもらい、最終的にもっとも評価が高かったのは、
スターバックスのコーヒーでした。
このことからわかるのは、ブランドによって味の評価が左右されるということです。
実際のおいしさや、コーヒーらしさといったものは、ほとんど関係ないのです。
さて、心埋学のイメージ測定法を使って調査した結果、
キーワードは「おしゃれ」
である可能性が出てきました。
そこで次に、それを裏づけるための実験を行ないました。
別の女子大学生90人に、「海外で人気のカフェ(じつは架空の店)が東京・南青山に新しく出店
することになった」という説明をして、おしゃれなマークがついたパンフレットを渡し、
そこがつくった飲料だと言って、先ほどの3種類のコーヒーのテストでいちばん評判が悪かった
ブランドのコーヒーを飲んでもらいました。
結果は、パンフレット見ながら飲んでもらうと。 前の実験でいらばんおいしかった
ブランドと同じくらいよで評価が上がりました。あれはどまずいといわれたコーヒーが
おしゃれ感を出すことで評価が変わったのです。”
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“おいしいと感じる背景には、ワクワク感や気分のよさ、
満足感などさまざまな要因がありますが、
私たちはそこまで深く考えずに「おいしい」と言っていることがよくあります。”
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次に、食べログでなぜ高い評価の店に行きたいのか?を解説している文章からメモします。
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“そうした心の動きを解釈するのに、私の研究室では、
アメリカの心理学者マズローの欲求段階説を使っています。
(中略)
①生理的欲求:生命を維持するための根源的な欲求。
②安全の欲求:安全や良好な健康状熊、経済的安定などへの欲求。
③愛と所属の欲求:①と②が満たされたあとに生じる、他者に受け入れられている
という感覚や、社会的な役割があるという感覚などを得たいという欲求。
④尊重・承認の欲求: 価値ある存在と認められ尊重されたいという欲求。
⑤自己実現の欲求:自分の可能性を追求し、能力を最大限に発揮して望む人生を
現実したいという欲求。”
簡単に置き換えると、
①生命維持のための、エネルギー、カロリー、ミネラルバランスなどを求める。
特に、エネルギー源である甘いものを美味しく感じる。
②食べ慣れたものを食べたいと思う。母の味。よく目にする料理。
食べたことの無いもの、イメージできないものは不安になります。
③「みんなが行く店に行きたい」「同じものを食べて話を合わせたい」(所属)
郷土料理店なども懐かしさに浸りたいという欲求の一つ。
④「流行の店を知っている人として認められたい」
「味のわかる人として褒められたい」。認証欲求。
⑤この段階は人それぞれ、自分なりの基準を設けて
「あれを食べるならこの店」「値段は関係ない」など。
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なるほど!世間は④まで到達してきているんですね。
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“マズローの安全の欲求に関連して、あるテレビ番組で行なわれた実験を紹介します。
8人の幼稚園児に、母親がつくったカレーをもってきてもらいました。
そして、園児1人ひとりに8種類のカレーを味見して もらい、母親のカレーはどれか当てさせました。
すると、園児たちは、ほぼバーフェクトに当てたのです。
味の違いを見分ける力は、生き物にとって命にかかわる非常に重要な能力です。
新しい味を手あたりしだいに食べていると、毒を食べる危険性があります。
そこで脳 は、食べ慣れた味で安全なものをおいしく感じさせ、食べるようにしているのです。”
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“ビールのおいしさは、いったい何でしょうか。
ビールにはのどを澗す作用があるので、暑いときや風呂上がりなど、
水分が欲しいときに飲むとおいしく感じるとよくいわれます。
これは、のどの奥のほうにある渇きを感じるセンサーを、ビールが満たしてくれるからです。
ビールに含まれる若干の酸性と泡の刺激感が合わさることで強い信号となり、
センサーを刺激するわけです。”
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“私たちが、同じものを1人で食べた場合とほかの人と一緒に食べた場合を比べる実験を行なったところ、
1人で食べたほうがちゃんと食べ物の味が感じられるという結果が出ています。
つまり、食べることに集中すると、よりはっきり味を感じるのです。
ですから、「大勢で食べるとおいしい」とか,「1人だと味気ない」と感じるのは、
おいしさの理由を別のところに求めていたり、
なんとなくそう思い込んでいたりする可能性が高いと思われます。”
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そもそも、求めておいる美味しさが違うんですね。
味わいたい時は、1人でも「味気ない」とは思わないんですね。
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“売れている商品の多くは、新しいカテゴリー(市場)をかたちづくっているからです。
たとえば、お菓子でいえば、昆布のお菓子、キャラメル、グミなど、独自のカテゴ リーを
つくりあげた商品がいまでもベストセラーとして君臨しています。
冷凍食品には、ギョウザやうどんなどいろいろなカテゴリーがありますが、
最初に それを売り出したメーカーがいまでもいちばんよく売れています。
やはり、そのカテゴリーで最初にトップをとった食品が勝ちつづけています。
多くのメーカーは、いまいちばん売れているものをベースに何をプラスアルファするかを考えていますが、
ベースとなるものが主ですから、市揚の1 部をシェアするだけでしかありません。
まして、自社がそのカテゴリーのトップでない場合は、あと追いをしても、おそらく勝ら目はありません。”
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厳しいですね。。。
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“コーラをブランドがわからないようにして飲んでもらうと「ぺプシコーラ」
のほうがおいしいという答えが優勢でした。味だけなら「ペプシコーラ」が好まれたのです。
しかし、ブランドを明かして飲んでもらうと、「ぺプシコーラ」がおいしいと言った
人のなかから、「コカコーラ」がおいしいという人が出てきて、ほぼ五分五分という結果になりました。
その秘密は、「コカコーラ」から連想されるイメージにありました。
「小さいころから飲んでいる」
「赤と白の色づかいがサンタクロースの色と同じ」というものです。
「コカコーラ」にはそういう記憶を呼び起こすイメージがあることがわかったのです。
つまり、中身を飲ませるというよりは、幼いころの記憶をよみがえらせて
楽しんでもらう飲み物なのです。
(中略)
消代者はそのバッケージを見て、幼いころの幸せだった時代を思い出すのです。”
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幼い頃の幸せな記憶は人それぞれ違うので、おいしさも人それぞれになるんですね。
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今日のメモは、ここまでです。
心理学と脳科学で「おいしい」を表したこの本。本当に面白かったです。
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マクドナルドTVCMより