CMディレクター 仲野哲郎の「シズル」って何?115
–
–
今日は、宮城大学の教授 石川伸一さん著の
-「食」の未来で何がおきているか 「フードテックのすごい世界」-からのメモです。
–
–
本書は、フードテック=フード+テクノロジー、について丁寧に書かれた本です。
現在の食の現状、未来の食の予想。
著者の知識から説明されています。未来の食が見えて少し恐ろしくはなりましたが、
とても勉強になる本でした。
–
–
”新時代の潮流「フードテック」が注目されている。
「フード」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語で、最先端の技術を活用し、
イノベーションによって食の可能性を広げようとするものだ。フードテックが特にクローズアップされるようになったのは、
2010年代半ばあたりから。
設立してわずか数年のスタートアップ企業(新たなビジネスモデルで急成長を目指す企業)に、
ビル・ゲイツ氏や世界的規模の企業など、そうそうたるメンバーが巨大な投資をすることで話題になった。
フードテックの市場規模は今後、
700兆円にまで膨らむと予測されている。なぜ、近年になって急成長し、今後も伸びていくと考えられるのか。その大きな要因は、年々増え続ける世界の人口にある。人口増加にともなって、食料需要も当然増していく。
なかでも問題となるのがたんぱく質だが、最大の供給源である畜産は生産性が高くなく、
しかも拡大すれば温室効果ガスの排出を増やしてしまう。
もうひとつのたんばく質源、魚についてはすでに乱獲が始まっており、
多くの魚種で資源の枯渇が懸念されている。
こうした厳しい状況のなかでも、世界の人々の胃袋を満たしていかなければならない。
だが、いまのままでは予想される人口爆発には到底対応できず、より効率的に食料を生産する必要がある。
その切り札として期待されているのがフードテックなのだ。
フードテックはほかにもヴィーガン(完全菜食主義者)やベジタリアン、
あるいは宗教上の戒律によって食べるものが制限されている人への対応策や、
食の生産現場における課題や飲食店の人手不足などの解決策にもなり得る。”
–
–
“近年、世界各国で魚の人気が高い。要因のひとつは、肉類を主なたんぱく質源としてきた欧米などの国々が健康志向になってきたことだ。
肉を生産する畜産が地球環境に負荷をかけている事実も、嗜好の変化に少なからず影響を与えている。
新興国の生活水準が向上してきたことも、魚の消費拡大と関係性が強い。
経済が発展して生活に余裕ができると、炭水化物の多い食品からたんばく質が摂れるものへと、
食生活の移行が進むからだ。
50年前と比べると、中国では魚を約9倍、インドネシアでは約4倍も食べるようになった。
世界の国々は「魚食」に目覚めてしまったのだ。
世界的に魚の需要が増えているなか、水産物の資源管理が問題になっている。漁獲
量自体は落ちていないが、以前は獲らなかった魚まで獲るようになった。
要するに獲り過ぎで、魚の多くは資源枯渇の危機にある。”
–
–
”ゲノム編集と遺伝子組換えには混同しやすい部分がある。
しかし、まったく違うものであることを知っておきたい。
遺伝子組換えとは、その生き物にはない遺伝子を新たに組み込むことをいう。
つまり、遺伝子が組換えられたものは、その種がもともと持っていない新しい性質を持つことになる。
実際の例でいうと、特定の除草剤をかけられても枯れない大豆、
自分をかじった害虫が消化機能の障害を起こて
死んでしまうトウモロコシなどがそうだ。
これらの遺伝子組換え作物は、ゲノムのなかにその性質のかけらも持っていないのだから、
大豆に対して品種改良を何億回繰り返しても、特定の除草剤に耐性を持つことなどない。
自然界では絶対に起こらないのが遺伝子組換え。
こうしたものを食べて本当に大丈夫なのか、と懸念されているのはこのためだ。
これに対して、ゲノム編集は生き物が本来持っている設計図に手を加えて、新しい性質を与えるものだ。
2012年に開発された「クリスパー・キャス9」などのゲノム編集の技術によって
ゲノムを作り出すDNAの配列のなかで、狙った特定の遺伝子のみを切断する。
そうはいっても、やはり遺伝子に手を加えるのだから怖い……と、
まだ思う人もいるかもしれない。
けれどDNAが切れたり壊れたりする現象は、自然界でごく当たり前にあることだ。
こうした場合、トラブルがあった部分はすぐに修復されてもとの状態に戻る。
ところが、まれなことではあるが、修復エラーのようなことが起こって、もとに戻らないケースがある。
これが生物に進化をもたらせてきた突然変異なのだ。人間はこの突然変異を利用してきた。植物でいえば、
たまたま生まれた大きな実、えぐみのない葉、軟らかい茎といったものを選抜して利用してきた。
これが野菜や穀物、果樹、それに家畜やペットなどでも行われてきた品種改良だ。
ゲノム編集は自然界で発生するDNAの修復エラーを人為的に行うことなので、
根本的には品種改良と何ら違いはない。
ただ品種改良と大きく違うのは、比較にならならない短期間で結果を出せるということだ。”
–
–
”これがいまのあなたが食べたい料理。そして、これがそのレシビです。
キッチンosがアプリでこう提案するようように、フードテックの世界ではいま、
レシピのパーソナルズ化がどんどん進んでいる。
米国スタートアップ企業が先導するこの分野に、日本の冷凍食品業界のトップ企業、
ニチレイが乗り出したのを知っているだろうか。
2020年11月に提供開始したスマートフォン用アプリの「このみるきっちん」。
漠然とした個人の食の好みを見える化する新時代のサービスだ。
(中略)
6つの「食タイプ」に分類。この価値観を基本に、AIがその人専用の献立を提案。
6つの質問と食のタイプ分けについては、ニチレイのこれまでの取り組みを反映。
心を数値化する手法「心理計量学(サイコメトリクス)」などによって得た知見を
AIに組み込んで分析し見える化を実現した”
–
–
人口増加で食糧危機問題は必ず起こる。
テクノロジーで未来の食を支えていく。
未来に希望を持てる著書でした。