CMディレクター 仲野哲郎の「シズル」って何?116
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今日は、宮城大学の教授 石川伸一さん著の
「料理と化学のおいしい出会い」からのメモです。
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石川伸一さんの著書はどれを読んでも面白い!!
ハズレなしです。食べ物をテーマにこれだけ面白い文章が書けることに
驚くばかりです。
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早速、まずは料理と化学の出会いの歴史から。
分子ガストノミーの話題はやっぱりエルブリのフェラン・アドリアからですね。
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”料理に持ち込まれた「ポストモダン主義」
エル・ブリの斬新な料理の創作メソッドに、「デコンストラクション(脱構築、deconstruction) 」
という概念があります。建築や文学批評で使われる言葉ですが、
エル・ブリの脱構築は、古典料理や伝統料理のレシピと素材を徹底的に分解して組み立てなおし、
まったく新しいものにつくり上げていく」という意味で使っています。
《エル・ブリ》の料理は何といってもその斬新さに目を奪われがちですが、
その料理の背景には、「これまでの料理の固定化された既成観念の打破と、
要素を組み合わせて新たな可能性を再構築して提示する」という近代料理に対する
ポストモダン主義が隠されています。
料理の世界に、そのような哲学的思想を初めて持ち込んだという点に、もっと目を向けるべきでしょう。”
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現代アートにもポストモダン主義の時代があったように、料理にもポストモダンの考え方を取り入れたんですね。
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フェランアドリアのインタビューから
“「ワインを見て下さい。ぶどうという食材を加工し、洗練させながら、ぶどう
そのものより素材に一層近づいているじゃないですか。柑橘類からシャーベットにするのも同じこと。
イベリコ豚の生ハムだって、加工と熟成のプロセスによって、
もともとの素材からは考えもつかない味に達している。
大切なことはひとつ。素材をそれ以上の高みにもっていくことです。」
素材自身もわかっていないような潜在的な魅力をあらゆる手段を使って顕在化させ、
テープルという舞台に立たせて最終的に喝采を浴びさせる、いわば「演出家」の
ような印象をこの料理人から感じます。”
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素材の持つ潜在的な魅力を顕在化させる。出来そうでなかなか出来ない仕事ぶりですよね。
演出家の基本姿勢を垣間見た気がしました。
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新しいイノベーションを起こすには。。。
”科学と技術の方向性が異なることを認識することがまず大切ですが、何か新しいイノベーションを起こす際、
科学と技術双方のチカラが必要であると認識することもまた重要です。
実際、科学の活動も高度な技術を用いた実験や観測手段への依存を高めており、
科学界で一番有名なノーベル賞も、新しい発見だけでなく、新しい発見を生み出すための技術にも
積極的に与えられています。
新しい技術が新しい科学的発見をもたらし、新しい科学的発見が新しい技術を生み出す。
科学と技術は、持ちつ持たれつの関係、いわば”車の両輪であり、
科学または技術のどちらかの車輪が大きすぎたり小さすぎたりすると、いびつな車輪となって回らなくなります。
料理と科学の世界、料理人と科学者の関係も、この科学と技術の関係と同じように感じられます。
新しい技術から新しい料理が生まれ、その新しい料理からまた新たな科学的発見が生み出されます。”
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技術と科学。発展には欠かせない要素ですね。
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次に、フェランアドリアとともに分子ガストロノミーを前進させたファットダックのブルメンタールさん。
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“ブルメンタール氏の料理を特徴づけるキーワードに「多感覚料理」という言葉があります。
おいしい料理に、「風味」を感じる味覚・嗅覚は必要不可欠ですが、
さらにマルチな感覚に訴えるものです。その代表的な料理が、「Sound of the sea」でしょう。
「聴覚」がいかに風味に影響を与えるか科学的な研究を重ねてつくられた料理で、
カキ、ハマグリ、ムール 貝、海藻などの海の幸を使った料理にipodが添えられています。
客にipodで波の音を聞いてもらいながら、シーフードを堪能してもらうという、“挑戦的な“料理です。
(中略)
プルメンタール氏は、おいしい料理をつくるために、数々の実験とサイエンスに
基づいて理詰めで考える「科学に非常に精通した料理人」であるといえるでしょう。”
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美味しいってなんだろう?を科学を利用して前進させた2人のシェフからのメモでした。